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もね さんの投稿された作品が120件見つかりました。
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虹の橋を渡る日まで
キミはどんな夢を見てるの足をちょこんと揃えていつの間にか無邪気なキミは髭も白いおじいさんになったキミが見る夢はもしかしたら兄弟と遊んだ幼い日々母の足に絡んだ甘い日々?今でもキミの瞳は初めて会ったあの日のままキミとの間に言葉はないけどキミは体中で語りかけるだから言葉で語るよりも深くキミと繋がれたねあの頃は季節が変わるのも美しく輝いていたのに今は花が散るのさえ怖くなってしまういつかキミがいなくなって
もね さん作 [297] -
昔の思い出11
祖父が倒れたとの知らせがあったのは、声を入れたカセットテープを送った数ヶ月後の夏の事だった。真夏の炎天下に女川や石巻の駅で反対演説を繰り返していた祖父は、とうとう活動中に意識を失った。祖父が仮退院するまで待ち、私達家族が帰郷すると、家はしんと静まり返っていた。奥の部屋に祖父は寝かされており、大人達が交代で祖父の看護をしていた。祖父の様子を見ていた祖母がある日、私達兄妹を呼んだ。「おじいちゃんは頭
もね さん作 [399] -
昔の思い出10
「父さんの悔しい気持ちはわかる。でももし発電所が出来なかったとしても、父さんが倒れてしまったら、家族皆が悲しむんだ。もう今父さん一人でどうにかしようと思っても無理な話だ。どうか体の事を一番に考えてくれ。」私達が帰郷できない時、代わりにと家族の声を入れてカセットテープを送った。そこには父の声でそう吹き込まれていた。東北電力女川原子力発電所の計画は以前からあった様で、東北最大の都市仙台へと、夏期は東
もね さん作 [378] -
昔の思い出9
その乱暴で解らない大人達のボスだと私は勝手に思い、恐れていたのが祖父であった。祖父はいつも孫達を遠くから眺めているだけで大して交流はしなかった。規律を重んじる性格と、家長であるという事、父と同じで子供との接し方が分からず、不器用であったのも理由かもしれない。いつも祖父の食卓は一番奥で、私達子供とは近くで食べる事はあまり無かった。しかしごくたまに私達兄妹を近くに呼んで共に食事をする事があった。私達
もね さん作 [391] -
昔の思い出8
きっと駄々をこねたのだと思う。「綺麗なお花だねぇ」「綺麗だなぁ。あれって取れないよね?」気が付くと叔父は荒れ果てて肩程の高さまで草の茂った畑の中、花を目指して泳ぐ様に掻き分けて進んで行った。私はハラハラしながら砂利道に立っていた。叔父の手から渡された花は驚く程大きく、私の背丈を超えていた。それでも嬉しくて私はそれをぎゅっと抱えた。叔父の額には汗が落ち、涼みに行った筈がすっかり汗だくで帰る事になっ
もね さん作 [424] -
昔の思い出7
「この水はどこから流れて来るのかな?」なぜここで沢がなくなっているのかという最大の謎に気付かぬまま尋ねると、「んだら探しにいぐか」と叔父は沢を登り始めた。沢は葛折りの様に山の斜面を規則的に曲がりくねって流れていた。時折先を行く叔父の背中が見えなくなるのと、川底の砂に混じる小石の痛さに戸惑いながらも、水の不思議な冷たさに魅せられ登って行った。どんなに登っても登っても、源流に着くどころか一層沢は広く
もね さん作 [342] -
昔の思い出6
父の唯一の男兄弟である叔父は遠洋漁業の船乗りであった為、5人兄弟の中でも遅くまで独り身であった。早くに家を出た父に代わって祖父母の世話をしながら暮らしていた。私は特別叔父に可愛がられていて、物心付いた頃には父の故郷に行くと父より叔父の傍らにいる事の方が多かった。クーラーなどまだ一般的でない頃だから、夏の昼下がりのうだる暑さに、叔父が私を裏山の沢へ連れて行った事もあった。駅から祖父母の家までの細い
もね さん作 [344] -
昔の思い出5
父は若い頃奨学金で大学を出た。東京で仕事をし、美しい妻と可愛い息子と娘を持ち、故郷に帰る事はきっと誇らしかったに違いない。しかしそこにはいつも非常に熱い家族達が待っているのだった。思い返せば父の家は皆血の気が多く、祖父と祖母の夫婦喧嘩に始まり、5人兄弟姉妹だったが、父と叔父の掴み合いなどが起こる事も度々であった。その度穏やかな性格の叔母達が突き飛ばされたりしながら止めに入っていた。「兄さんやめら
もね さん作 [354] -
昔の思い出4
時に盛岡に住む従兄弟の兄弟が来ていたりすると保育園状態だった。いつも兄妹で遊んでばかりいた私達は子供四人で冒険の旅に出掛けたりもした。庭の柿の木に登って「柿の木は折れで危ねがらやめれ」と大人に下ろされたりした。夏には海水浴をして船虫にくわれたり、親戚のぽんぽん舟に乗せられウニ漁に行った。絶品(らしい)の馬糞ウニは瞬く間に大人達の餌食になり、子供には牡蠣やツブ貝などがあてがわれたが、「大人の味だか
もね さん作 [360] -
昔の思い出3
「はぁー良ぐ来たな」「まんず足崩しで」「随分腹減ってるべや?」もてなし好きの祖母は嬉しくて私達に飲み物を注ぐと色んな話を次々繰り出して来た。注意できない状況の母を後目に兄と私は普段飲ませてもらえない甘いカルピスなどを祖母から出されご満悦状態であった。祖父はいつも奥にどっかと座っていて、ぽつぽつ満足そうに父と話したりしながらも祖母程はしゃいだ風は見せなかった。祖母の料理は素朴だったが、文句無しに美
もね さん作 [364]