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内田俊章 さんの投稿された作品が142件見つかりました。
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タイムカプセル 21
あぶり出し ? 会議室に戻ると、皆は、ワクワクしながら、袋を開け始めた。 防水がしっかりしていたため、シミ一つ無い状態だった。 「ワッ!下手くそな字!」 一人の男が言った。 「本当だ。何を書いたか、読めないや!」 それぞれの袋の中には、懐かしい思い出がいっぱいだった。 「ねえ亜紀。何が入ってた?」 大石めぐみが、亜紀の袋を覗いた。 「あぁ、これこれ!」 亜紀が、袋から取り出したのは、手紙の封筒だ
内田俊章 さん作 [377] -
タイムカプセル 20
あぶり出し ? タイムカプセルは、智樹の父親が用意してくれた、18リットルの醤油缶を利用した物だった。 皆の作文や、思いでの品は、それぞれがビニールの袋に入れて缶に納め、その缶を、防水のために、何重にもビニールで繰るんだのだ。 謙介と智樹は、慎重に缶の周りを掘り、遂にタイムカプセルが引き揚げられた。 「ヤッター!」 又、歓声が上がった。 智樹は、土を払い落とすと、カッターでビニールを切り始めた。
内田俊章 さん作 [317] -
タイムカプセル 19
あぶり出し ? 「それじゃあ、そろそろ、外へ出て、作業を始めようか!」 智樹の声に、全員が席を立った。 「何が出てくるか、楽しみだな!」 皆は、口々にそう言いながら、外へ出た。 「場所は、“二宮金次郎”の裏だったな!」 謙介が聞くと、大石が答えた。 「そうよ!この間、中野君と距離を測って、印を付けて有るから!」 “金次郎”の裏には、1m四方位に、ビニール紐が張って有った。 「さあ、俺達が交代で掘
内田俊章 さん作 [316] -
タイムカプセル 18
再会 ? タイムカプセルの掘り起こしは、2時からの予定で、それまでは、懐かしい話に花が咲いた。 「さすがに、都会で生活している人間は違うな!」 智樹が、亜紀の方を見ながらしみじみと言った。 誰もがうなずくと、金光寺の住職の妻である“大石めぐみ”が、言葉を返した。 「田舎者で悪かったわね!」 すると、ドッと笑いが起きた。 子供の頃は、誰もが認める謙介と亜紀だったが、皆の前では、中々亜紀に話しかけら
内田俊章 さん作 [306] -
タイムカプセル 17
再会 ? 謙介は、亜紀と一緒に入るのが、照れくさかった。 ところが亜紀は、一向にお構いなしで、謙介のすぐ横に寄り添って歩いていた。 会議室の扉を開けると、全員が2人に注目した。 「皆、久しぶり!」 「皆さん、ご無沙汰してます」 亜紀が挨拶をすると、余りの亜紀の変わりように、全員が目を丸くした。 「お前達結婚したのか?」 一人の友人が言った。 謙介は、慌てて手を横に振り、否定した。 「違う、違う!
内田俊章 さん作 [317] -
タイムカプセル 16
再会 ? 「いいえ、どういたしまして。お母さんはお元気ですか?」 「10年前に亡くなりました」 「あら〜、そうだったの」 「でも、オバサンはお元気な様で、何よりです」 「有り難う。今日は、同期会なんだってねえ。智樹は朝から張り切っていたよ。どうぞ、楽しんでらっしゃい」 「はい、有り難う御座います」 智樹の母親を見送ると、2人も小学校へ向かった。 子供の頃は、随分遠くに感じたが、金光寺から、2分も
内田俊章 さん作 [354] -
タイムカプセル 15
再会 ? 2人は、恥ずかしげに、うつ向きかげんで、会う人毎に軽く会釈をしながら、西尾家の墓の前まで来た。 そして、手を合わせて黙祷をし終わると、一人の婦人が声を掛けて来た。 「もしかして、あんたは、西尾さんのケンちゃんかい?」 2人は振り向き、その婦人の顔を見た。 「はいそうですが……。あっ、オバサン!」 「えっ、オバサン?」 亜紀は、キョトンとした顔で、聞き返した。 「智樹のオバサンだよ。ねえ
内田俊章 さん作 [306] -
タイムカプセル 14
再会 ? 「そうなの、何時も忙しい時にぶつかって無理だった。だから今日は、すごい楽しみだった。……ケンちゃんに会えるのが!」 「……。結婚はしてるんだろう?」 「1回はね。でもバツイチ!」 「そうだったのか。悪いことを聞いちゃったな」 「いいの、気にしないで。私は、建築設計の会社に勤めて、27才で独立して、インテリアコーディネーターの会社を立ち上げたの。」 「へえ、すごいな。キャリアウーマンから
内田俊章 さん作 [315] -
タイムカプセル 13
再会 ? 「うわあ〜、懐かしいな!『バッター4番、ファースト西尾君!』中体連の時、私がアナウンスしたんだよね!」 「あぁ、そんな事も有ったな!」 「ねえ、ケンちゃん。金光寺へ行ってみない?」 「あぁ、亜紀が怪我をした所だな!」 「ねえ、覚えてる?あの時、『胸も痛い』って言ったら、ケンちゃんは、私の服をめくって、冷やしてくれたんだよね」 「あぁ、覚えてるさ。俺が追い掛けていて転んだから、責任を感じ
内田俊章 さん作 [328] -
タイムカプセル 12
再会 ? 謙介は、想像以上の美人になった、亜紀の容姿に驚き、見惚れてしまった。 そして、妻の栞に言われた“間違いの無いようにね”との言葉を思い出し、もしかしたら“間違いが起きるかも”と、勝ってな想像をした。 2人は駅を出て、謙介の車に乗り込んだ。 「未だ時間が有るけど、真っ直ぐ行くか?」 「中学校へ行って見たいな!」 「あぁ、そうしようか。亜紀が引っ越したのは、中学校を卒業して、直ぐだもんな!」
内田俊章 さん作 [320]