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内田俊章 さんの投稿された作品が142件見つかりました。
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タイムカプセル 1
思い出 ? 「プルルルルーン・プルルルルーン」 「はい、西尾ですが、どちら様ですか?」 「中野と言いますが、ご主人はいらっしゃいますか?」 「はい、少々お待ち下さい」 「あなた、中野さんと言う方から、お電話よ」 「中野?何処の中野だ」 そう言いながら西尾謙介は、妻の栞(しおり)から受話器を受け取った。 「もしもし、西尾ですが」 「謙介、久しぶり!誰かわかる?」 「エッ?中野……って、智樹か?」
内田俊章 さん作 [354] -
消えた30の瞳
「はい。私の父は、こちらです」 矢口は斉藤を、父親の遺体の傍へ案内した。 斉藤は、ヘルメットを脱いで膝まづくと、深々と頭を下げ、手を合わせた。 そして、その横に並べられた、セスナ機の犠牲者、5人の遺体にも手を合わせた。 「後の9人は、こちらです」 野崎が、大きな穴を指差すと、斉藤が、穴を覗き込んだ。 斉藤は一瞬、地獄の様相に顔を背けたが、同じ様に手を合わせた。 そして、同行して来た捜索隊員に指
内田俊章 さん作 [563] -
消えた30の瞳 ?
矢口と野崎は、雪渓の上に打ち上げられた遺体を、1体づつ慎重に引き摺りながら、少し離れた、岩盤の露出している辺りまで運んだ。 間もなく、200m程離れた、平らな岩盤の上に、ヘリコプター2機が到着し、数人が降りて来た。 その中には、斉藤隊長の姿も有った。 矢口は、斉藤に暴言を吐いた時に、腹を決めていた。 斉藤が、地図の作成と、セスナ機遭難事故の、捜索方法の責任を問われて、職を失うか、自分が首になる
内田俊章 さん作 [393] -
消えた30の瞳 ?
矢口は、言いたいことを言い、スッキリした。 そのやり取りを聞いていた野崎も、“よくぞ、言ってくれた”との表情だった。 「さあ、これからが大変だ!」 矢口が言うと、野崎も答えた。 「そうだな。遺体を引き上げるのに、足場が悪いな!」 2人は、ヘリコプターが到着するまでの30分、遺体引き上げのための、段取りを始め様とした。 “ドドドドーン” その時だった。 2人が居る場所より、50m程上で、雪が大量
内田俊章 さん作 [358] -
消えた30の瞳 ?
2人は、心を落ち着かせて、改めて穴を覗き込み、遺体の数を数えた。 父親以外は、セスナ機の乗員乗客に間違いないらしく、15人の遺体の、30の瞳が、薄暗い水面から、2人を見つめていた。 2人は、自分たちが所属する、山岳警備隊の事務所ではなく、警察へ連絡を入れた。 そして、遺体搬出のヘリコプターを要請した。 間もなく、斉藤隊長から、連絡が入った。 「矢口君、何故私にではなく、先に警察へ連絡を入れたん
内田俊章 さん作 [401] -
消えた30の瞳 ?
「オヤジが、自分で自分の居る場所を教えてくれたんだ」 2人は、父親に向かって、手を合わせた。 「オヤジ!直ぐに引き上げてあげるからな」 矢口がそう言うと、野崎も頷きながら、スコップを手に持った。 その時「グオーン、グオーン!」と言う音と共に、さっきの地震とは違う、足元の揺れを感じた。 2人は慌てて、固い雪渓の上に避難した。 どうやら、雪渓の下で、何かが起こっている様だった。 「オヤジさんが、怒
内田俊章 さん作 [394] -
消えた30の瞳 ?
揺れはそれほどでもなかったが、地鳴りはしばらく続いた。 すると、2人の足元の雪が、ドボドボと音をたてて崩れ落ちた。 2人は慌てて、突き刺してあったポールにしがみつき、落ちるのを免れた。 そこには、直径2m程の穴が開いた。 中には、水が溜まっているらしく、今落ちた雪で、ユラユラと波立っているのが見えた。 野崎は、懐中電灯を取り出して、中を照らしてみた。 「や、矢口!あれは?」 矢口は、目を細めて
内田俊章 さん作 [401] -
消えた30の瞳 ?
どうやら、雪渓の厚さは3mで、その下は空洞の様だ。 矢口は、更にポールを押し込んだ。 すると、4m程で何かに当たった。 「地面か?」 矢口はそう思いながらも、更に押し込んだ。 多少の抵抗は有ったが、柔らかい地盤なのか、最後の1mも、楽に入っていった。 矢口は、その数値を手帳に書くために、ポールから手を離した。 次の瞬間、突き刺したはずのポールが、何かに押し戻されるように、1m以上も上がって来た
内田俊章 さん作 [393] -
消えた30の瞳 ?
「地図に、自信が無かったから、来なかったんだよ、あいつは!」 野崎は、吐き捨てるように言った。 「何て野郎だ!何が『様々な手を尽くしましたが……』だ!何もやってないのと同じじゃないか!」 矢口は、斉藤が3日目の夜に、家族やマスコミに向かって発表した、言葉を思い出して、改めて怒りを露にした。 「矢口!墜落したのは、この沢で間違いなさそうだな!」 「ああ。絶対に探し出してやるゾ!」 「おお!」 2
内田俊章 さん作 [391] -
青い瞳の転校生 最終回
初恋 13 「隆!2人で、何か良いことして来たか?」 勇二が、冷やかしながら聞いた。 「何もしてないさ!それより、勇二こそ、ひとみと楽しんで来たか?」 「まあな。ひとみが“火の玉”に驚いて、俺に抱き付いて来たさ!」 2人の会話を、後ろで聞いていたひとみが、勇二の頭を“ポカン”と叩いた! 「勇二!それは逆でしょう!」 「ひとみ!居たのか?」 「ねえ隆、スージー、聞いて。“火の玉”が出たとき、勇二は
内田俊章 さん作 [394]