トップページ >> 内田俊章 さんの一覧
内田俊章 さんの投稿された作品が142件見つかりました。
-
青い瞳の転校生 第27話
初恋 12 隆は、“ぎこちなく”スージーの左の頬に、唇を軽く触れた。 するとスージーは、目を開けて“ここに”と、自分の唇を指差し、又目を閉じた。 「ええっ?」 もう隆の頭の中は、真っ白だった。 そして、言われるままに隆は、唇を重ねた。 初めての、口付けだった。 隆にとっては、このまま、時間が止まって欲しいと思うほどの、夢の様な出来事だった。 それは、スージーにとっても同じだった。 家族との口付け
内田俊章 さん作 [318] -
青い瞳の転校生 第26話
初恋 11 「ワタシもだよ!タカシ!」 隆の心臓は、破裂しそうな位、高鳴っていた。 スージーは、隆の方を向き、隆の両肩に手を添えると、隆の頬にキスをした。 「……。スージー……!」 隆の心臓は、もう限界を越えていた。 そしてスージーは、隆の手を取ると、自分の胸にあてがった。 隆は思わず、手を引こうとしたが、柔らかい膨らみの感触が、手のひらに伝わって来た。 「ワタシの“ドキドキ”伝わった?」 隆は
内田俊章 さん作 [347] -
消えた30の瞳 ?
矢口の父親が事故に遭った後は、斉藤が中心に作業を進めて、地図が完成したのだった。 「オヤジが事故に遭ったのは、この沢で間違いないよな!」 矢口は、改めて野崎に確認した。 「うん、間違いない。この沢の測量を始めて、間もなくなはずだ」 野崎は、矢口が何を言いたいのかを察知して、間発入れずに答えた。 「と言う事は、この沢の測量は、斉藤隊長がやったんだな?」 斉藤は、矢口が居なくなった後、測量を続ける
内田俊章 さん作 [398] -
青い瞳の転校生 第25話
初恋 10 隆は嬉しかった。昼間は、皆に対して、あんなに嫌な思いをさせたのに、こうして、いつもと同じく、ハシャイでくれる友達。 スージーは、こんな俺を、好いてくれている。 “俺もスージーが好きだ!” “2人の、最高の思い出を作ろう!”と、隆は思った。 お化け屋敷を出てきた、他の友だちも、それぞれ砂浜で遊んでいた。 隆は、スージーを誘って、人気のない、砂浜の外れの方へ、歩いた。 そこには、テトラポ
内田俊章 さん作 [323] -
消えた30の瞳 ?
尾根から100mも下っただろうか? 矢口は手に持っているポールを、スルスルと伸ばした。 そして、5mにもなるそのポールを、一気に突き刺した。 ところが、2・30cm位しか刺さらない。 「えっ?変だぞ」 矢口は首を傾げ、父親の地図を広げた。 「どうか、したか?」 野崎も矢口の傍へ来て、地図を覗き込んだ。 改めて見ると、古い雪渓と新しい雪渓の境目の線が、真っ直ぐ下まで延びている。 矢口が今、ポール
内田俊章 さん作 [406] -
青い瞳の転校生 第24話
初恋 9 「ネエ、タカシ。あっちへ行って来よう!」 スージーは、海の方を指差し、隆を誘った。 「うん」 2人は並んで、砂浜を歩いて行った。 サンダルを脱ぎ、裸足で海へ入ると、昼間とは違い、水は“ヒンヤリ”として、気持ちが良かった。 スージーは1人で、来ては返す波と、戯れていた。 隆は、そのスージーの姿を見つめながら思った。 “スージーにとっては、初めての海だったんだ。そして、5月に転校して来たば
内田俊章 さん作 [341] -
消えた30の瞳
セスナ機遭難事故から、1年が経った先日、何も発見されないまま、家族と自治体の、合同の慰霊祭が行われた。 矢口と野崎も参列したが、家族の悲しむ言葉を聞くと、目頭が熱くなった。 1年が経った今でも、矢口たち山岳警備隊のメンバーは、時間を見つけては捜索活動を、続けていた。 その日、矢口と野崎は、一番“鳴神山”寄りの沢へ向かった。 5号目の山小屋を出て、東へ向かい、遭難した翌日の捜索と、同じルートをた
内田俊章 さん作 [423] -
消えた30の瞳 ?
セスナ機が遭難して3日目の夜の事である。 山岳警備隊の隊長で、今回の対策本部長である斉藤が、記者会見を行った。 「出来る限りの方法で捜索しましたが、現時点では、何の手掛かりも無く、遭難者の生存は、絶望的と思われます」と。 当然、家族やマスコミから、様々な質問が出たが『捜索方法や内容には、問題ない』と言い切った。 家族もちろん、捜索隊の落胆は大きかった。 当初セスナ機は、通信機器の故障で、どこか
内田俊章 さん作 [364] -
青い瞳の転校生 第23話
初恋 8 その時、2人の前を、火の玉が横切った! 「ギャー!」 スージーは驚き、隆の右肩に、しがみ付いた。 その時、スージーの胸の膨らみが、隆の右腕に触れた。 2人は“ハッ”として、直ぐに離れたが、遠くで光る、骸骨の目を見て、再びスージーは、隆にしがみ付いた。 「ネェ、タカシ。ずうっと、こうしてて良い?」 「あぁ、良いよ」 2人の心臓は、恐ろしさと、お互いを意識して、高鳴っていた。 出口まで2人
内田俊章 さん作 [377] -
消えた30の瞳 ?
地図は完成したが、矢口の父親は、頑固で変わり者。 その様な父親が手掛けた地図を、役所を始め、ほとんどの者が、正式な物とは認めず、活用はされなかった。 ところが、昨年の夏に発生した滑落事故で、その地図は活躍した。 古い雪渓と、比較的新しい雪渓の間には、明確な境目が出来る事がある。 役所の地図は、それを一つの塊の様に表記しているが、矢口の父親の地図には、その境目が明確に書かれていた。 更にその下に
内田俊章 さん作 [386]