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ケィ。 さんの投稿された作品が48件見つかりました。

 
  • BAD GIRL

    もしあの時、俺が…そこまで考えかけて、頭を振った。どうしようも無いこと、というヤツは、確かに世の中にある。むしろ世間にはそればかりだ。そんな事も認められない程、俺は若くない積もりだった。だから、女の子が絡まれていたからといって、普段通り、見て見ぬ振りを決め込んだところで、何を言われる筋合いも無い。“スカー”というあだ名の元になった顔の傷だって、修羅場をくぐりぬけてきた訳ではなく、実家で家畜の世話
    ケィ。 さん作 [802]
  •  奇妙に折れ曲がった手が、手招きをしていた。 行ってはいけないと、鈍い本能が叫ぶ。 強かに酔った頭は、しかし、その叫びを受け入れない。 いや、こんなにボンヤリしているのは、本当に酒のせいだったろうか。 自分は酒に弱くない。若い頃には、一升瓶を五本空けても、シラフで通せたのだ。 その時のことが、不可思議に、鮮明に思い出された。 ああ、そうだ…あの日を最後に、友は旅立ったのだ。誰にもそんな
    ケィ。 さん作 [912]
  •  奇妙に折れ曲がった手が、手招きをしていた。 行ってはいけないと、鈍い本能が叫ぶ。 強かに酔った頭は、しかし、その叫びを受け入れない。 いや、こんなにボンヤリしているのは、本当に酒のせいだったろうか。 自分は酒に弱くない。若い頃には、一升瓶を五本空けても、シラフで通せたのだ。 その時のことが、不可思議に、鮮明に思い出された。 ああ、そうだ…あの日を最後に、友は旅立ったのだ。誰にもそんな
    ケィ。 さん作 [749]
  • 君が好き。だから。

    「ねぇ、アタシのこと好き?」ナオキの首に腕を回して、彼の少し傷んだ髪に、口唇を寄せて。アタシは囁くみたいに、尋ねる。「好きだよ」ナオキは、優しく答えてくれる。「本当に?大切に思ってる?」「思ってる。」嘘。知ってるから。他に付き合ってる娘がいるって。だけど、アタシのこと、好きって言ってくれるのはナオキだけだから。好きって言って欲しいのも、ナオキだけだから。だから嘘を、つき続けて。「…大切に思ってる
    ケィ。 さん作 [574]
  • 四番街の天使3

    男が帰ってきたこと、その黒い羽根のことを街の噂で聞いた時から、自分がどうすればいいのか、ずっと考えていた。だからもう、爪先がエア・ポートの縁に触れても、怖くない。「あのね、私ね。」怖くはないけれど。もう少しだけ。「ずっと、みんな本当はどんな気持ちで飛んでくのかなって思ってたんだ。」男は少しずつ、天使に近づいていく。「キラキラした空には希望っていうのが沢山浮かんでて、みんなそれを捕まえにいくの。」
    ケィ。 さん作 [460]
  • 小さな物語

    ひらひらと、降り始めた雪を見上げながら。 その先の灰色の雲を睨みながら。 バグは白い息を吐いた。 寒さのせいで、彼の耳が真っ赤に染まっても、手袋の下で指先が凍えるように冷たくても、彼はそうしていた。 頭の奥までキィン、と痺れてきた時、後ろから声がした。「バグ、いつまでそうしているつもり?」 アンナだった。 バグにとって母親のような人。「もう中に入りなさい」 バグは答えない。頑に口を結
    ケィ。 さん作 [501]
  • 四番街の天使2

    「煤けて汚れて折れ曲がって、誰も俺が天使だなんて思わない。」「…ごめんなさい。」天使は、涙を流した。その声はか細くて、この街に吹く穏やかな風にさえも、消されてしまいそうだった。天使は彼を知っていた。街で逢ったら、彼は天使のくせに、いつもイタズラばかりしていた。大人に怒られても知らん顔で、反省の色がないと叱られたら、それって何色?と食ってかかり、また叱られていた。エア・ポートに立つ天使に向かって、
    ケィ。 さん作 [412]
  • 四番街の天使

    四番街。そこにはエア・ポートがある。まだ年若い天使たちが初めて世界へ飛び立つ場所。そこにいるのは、翼の無い天使。「あんた、そこで何してんの。」凜と立つその背に向かって、男は問いかけた。天使は振り向きもせず、遠くの空を見つめたまま答える。「背中を押してあげてるの。」「背中を?」「そう。」「それって楽しい?」天使は少しだけ笑った。楽しかったことを思い出しているのか、男の問いかけがおかしかったのか、彼
    ケィ。 さん作 [441]
 
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