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アドベンチャーの携帯小説に含まれる記事が892件見つかりました。

 
  • 猫物語その13(改)

     みどもはこれより四里ほど西にある池に棲むザリガニである。いや、棲んでいたと申すべきか、もう戻れるあてはありもすまいて。 ザリガニは一瞬 子猫への警戒さえ忘れて悲しそうに呟きます。 沼ほど広くはないし栄養豊富な腐葉土が溢れかえっているわけでもないが、それでもみどもらが慎ましく暮らすには充分な生態系が そこにはあった...。 ザリガニのいう充分というのは無駄がないという意味であり、子猫にも その様
    α さん作 [487]
  • 猫物語その12(改)

     しかし、よくよく見るとその池は水深が浅く幅も狭いので水に浸からなくても 油断仕切って水面近くを泳ぐ蛙の一匹や二匹捕れそうでした。 今も のんびり安心しきった蛙たちが すいすい清らかな水の中を平泳ぎしています。 どっと疲れた子猫はわざわざ手の先を濡らしてまで蛙を捕る気には なれません。 猫の毛は油分が少なく水を弾かない性質なので 濡れると体温を奪われ生命の危機に さらされさえするのです。 もし雨
    α さん作 [450]
  • 猫物語その11(改)

     あやしげだなんて これは酷いおっしゃりよう。 二の蛙は水掻きを掲げてのけ反ると、せっかく お猫さまに喜んでいただけると思って差し出しましたのに。とおいおい歎きます。 これは言い過ぎたのかにゃ、と子猫が純真無垢な心を良心の呵責に揺さぶられると、すかさず一の蛙が その揺らぎを子猫のつぶらな瞳の中に目敏く見つけて言い募るのでした。 美しやかで愛くるしい お猫さまならば さぞやお心も愛情豊かに満ち溢れ
    α さん作 [471]
  • 猫物語その10(改)

     あわあわがたがた という形容があてはまるほど 蛙たちは色を失って震え、口から泡を吹きかねません。 あの、食べるつもりはにゃいですから...ってきいてるにゃ? ひー!きいております、おりますとも! まて!一の蛙よ、もっと落ち着け! 見ればまだ子供。蛙といえども海千山千の我々とて 捨てたものではないはず。まだ勝機はある。弱みを見せるな。 それもそうだな二の蛙。さすがは お前だ頼りになる。 お前に頼
    α さん作 [462]
  • 猫物語その9(改)

     おお、なるほど素晴らしい! ときに一の蛙よ。 何かね、二の蛙よ。 実は西に広がる平原で、つむじ風が吹いたそうだ。 なんと物騒な。それで、誰にも怪我はなかったか? うむ、あの辺りには少し大きめの池があったが幸い蛙の死体は見つかってないらしい。 なにせみんなまとめて つむじ風に巻き上げられていったそうだからな。 うむ、それはめでたい。怪我蛙がいなくて何よりだ。 この珍妙な会話をきいていた子猫は つ
    α さん作 [452]
  • 猫物語その8(改)

     風が運ぶにおいに気を配りながらも子猫は一路 麓の町を目指しておりました。 雀の話によると、なんと笛吹は今 以前子猫が暮らしていた あの町まで来ているそうなのです。 雀の話を鵜呑みにするわけではございませんが、しかし今の子猫には他に宛てにできる情報もないのです。 子猫があの町へ行くのは またたび入りマッチを使い切ってしまった夜 以来のことでした。 子猫は、モトドリに出くわしてしまったら どうしよ
    α さん作 [448]
  • 猫物語その7(改)

     ああ憎たらしい捕食者め!次会ったなら必ずこの嘴であのキラキラした瞳をつついてやる! 父母らの尽力で一命を取り留めた子雀は危機を脱っした後の高揚のままに極言します。 これ、およしなさい。お前が今生きているのは誰のお陰だと思うのです?猫に仕返しするなどと大層な口をきける立場ですか。 あたら若い命を無為に終わらせてはなりません。 お前たちに万一の事があれば母も生きてはおれません。お前は自分の親を不幸
    α さん作 [452]
  • 猫物語その6(改)

     子猫の鋭い一喝に身震いし羽をばたつかせた母雀は、これ以上この若い捕食者の機嫌を損ねてはならぬと急いでさえずり自分の伴侶を呼び立てたのでした。 短毛種の猫の毛の長さほどの間を措かず現れたのは母雀と変わらぬ大きさの中年雀です。 父上... 子猫からすると大した違いは見当たりませんが、雀族の間では互いに見分けがつくのでしょう。 子雀は意気消沈して涙ぐみ、自分の父を恐る恐るうかがうように見上げます。 
    α さん作 [481]
  • 猫物語その5(改)

     は、母上! あのふかふかの指の間からにゅっと出る木登りなどして丹念に研がれた細い三日月のような爪にがっちりと縫い留められた尾を、なんとか逃れようと捩りながら子雀は飛来した中年雀に叫びました。 どうやらこの子雀の母親が我が子の窮地に文字通り飛んできたようです。 はたして猫を相手に雀に過ぎない彼女はいったいどれほどのことができるでしょうか。 どうか、その子の 命を存えさせてやって下さいまし。もしお
    α さん作 [508]
  • 猫物語その4(改)

     さて、竹内さんと暮らすことになった子猫は、昼は竹内さんと竹林へ出かけて 竹内さんが竹を採るのをじっと見つめ、夜は煎餅布団に横たわる竹内さんの懐に潜り込んで すやすやと眠る 今までの猫生のうちでかつてこれほどまでも安らいだことはないと思うほど穏やかな日々を送っていたのですが、なかなか上手く鼠を捕れるように なれません。 子猫は竹内さんに申し訳なく思ってひそかに鍛練を積むのですが 思うようには上達
    α さん作 [489]
 
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