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ファンタジーの携帯小説に含まれる記事が7260件見つかりました。
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子供のセカイ。132
さっき散々な目に遭わされた、あの意地の悪い金髪碧眼の魂の分け身も、どこか別の国の子供なのだろう。そう思うと妙な気持ちになった。世界は繋がっている。“真セカイ”では国境は容易には越えられないが、“子供のセカイ”にはそういった意味での境界はなく、すべての子供たちのために平等に存在している。「本当はとても素敵なところなんだわ。」呟いた美香の声は小さすぎて、耕太には聞き取れなかった。『可愛らしい』感じの
アンヌ さん作 [362] -
二話 愛に飢えている少女と斧C
播磨少年は殺気を感じたのだろうか、すぐさま落ちていた鉄のパイプを使い、少女の斧での攻撃を受け止めた。「逃げろっっっ!!!!」播磨少年は守に叫ぶ。守はその言葉に従い、這い蹲りながらもその場を去った。少し走った後、守は立ち止まり考えた。何で僕は友達を置いて逃げ出した・・・・怖いから?その場にいたとしても役立たずだから?助かりたいから?もし死んだらクラスのみんなになんて言えばいい僕だけ逃げましたって言
レトルト さん作 [261] -
もしも明日が2-12
「…よくあんな嘘、堂々とつけるよな。」呆れた声で早稲田が言った。「そうね、でも緋狩ならそう言うかなって思ってたら勝手に口がね。」「それにしても、今回何で俺を引っ張り出した?こんなことなら俺は必要ないだろ?」「ええ、そうね。」若菜の口角が僅かに上がっているのを見逃す早稲田ではない。「…若菜、お前ワザと俺を引っ張り出したな。ホントは知ってただろ。」「さぁ?どうかしら。」若菜は笑顔ではぐらかす。どうや
花神ミライ さん作 [235] -
呼び人 14
「結局、朝ご飯はどうするんだ?」廊下を歩いて遠ざかった彼の背中に言葉を投げかけると、「いらねぇ!」とだけ返ってきた。まったく…。伊織は息を吐き出し、襖を閉めると今まで彼のいた布団の上にゴロンと仰向けに寝転がった。「今日も騒がしいことだな」部屋の静けさは、再び戻ってきた。黒髪が白いシーツに無造作に広がる様は艶めかしさすらある。伊織は自分の外見など興味はない故、オシャレはあまりしなかったが、シンプル
春歌 さん作 [354] -
呼び人 13
『ねぇ遊んで遊んで遊んであーそーんーでー』「ああもうわかったようっせえな!また隠れんぼでいいか!?」『やったー!!かっくれーんぼーっ』冬夜に断るという選択肢などない。耳元で何度も高い声を張り上げられて気分は最悪だった。勿論これまで断ったことなど何度もある。しかしその結果待っていたのは幼子特有の「駄々っ子してしてリピート攻撃」であった。命名、冬夜より。「ったく朝から…っ…おい、伊織の足を踏むなって
春歌 さん作 [265] -
呼び人 12
「じゃあ尚更早くご飯の仕度を…………おい、来たぞ」「あ?」「だから、来た。耳を済ましてみろ」パジャマから制服に着替えていた冬夜は、突然そう言われてボタンをかける手の動きを止めると、言われた通り耳を済ませてみた。しかし何も聞こえない。自分と伊織しかいない空間で、他に音を発する存在のない家は静まり返り物音一つしてはいなかった。「気のせいだろ?」「何、お前こんな騒がしい音すら聞こえんのか」どこが騒がし
春歌 さん作 [259] -
呼び人 11
「…あー、腹減ったー。伊織、なんか作れよ」「お前の母さんが作ってくれているだろう。早く食べに行け」「今日はお母サマは部屋に引きこもりデーなんですー。締め切り明日なんだと」「そうなのか?なら朝ご飯は?」「いっつもこーいう日は作らない。テキトーに作るか残りもの探るか食わないかのどれかだな」「……母さんは、冷たいのか?」柔らかかった雰囲気が固いものに変わったのに気付き、冬夜は違う違うと手を振る。「いや
春歌 さん作 [272] -
呼び人 10
「で、何しに来たんだ」冬夜は去ってしまった安らぎの世界を名残惜しく思いながら、仕方なく立ち上がり苛々と頭を掻き回す。伊織の姿を見る限り、いつも出かける時に持ち歩く鞄を肩に下げてきっちりと結わえた髪から、どうやらこれから大学へ行く途中でここへ寄ったらしい。「何って、弟を起こしに来た」「はぁ?…まさかテメェ、またそれだけの為に来たとか言うなよ」「悪いのか?」「おいおい…マジかよ…」怒りを通り越して悲
春歌 さん作 [267] -
呼び人 9
「冬夜ー!起きろー朝だー!!」…うるさい。襖から差し込む朝の光に高倉冬夜は眉を寄せ、その声を遮断するべく頭から布団を被り直す。が、それはすぐに乱暴にめくられた。「お前、一体今を何時だと思っている!」「知らねーよそんなの…何時だっていいだろ。伊織には関係ない……」彼の発言に信じられない、と彼女は整った顔を歪めて彼にのしかかった。「ぐえっ」お腹に全体重を乗せてくるものだから、起きるつもりなど毛頭なか
春歌 さん作 [262] -
子供のセカイ。131
美香と耕太は走ることもなく、右側、つまりコルニア城があるという東側の民家の間の細道に、そっと足を踏み入れた。美香は恐怖に体が強張っていた。本当は走った方がいいことはわかっているのだが、耕太は歩くのに精一杯の様子だ。声を掛けたいが、声は透明になっていないはずだから、治安部隊から距離を置いた後でないとそれもできない。「……。!」耕太がふらりと倒れそうになり、美香は慌ててつないだ手を両手で掴んだ。耕太
アンヌ さん作 [389]