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ミステリの携帯小説に含まれる記事が2060件見つかりました。

 
  • 餓鬼

    私が初めて由梨絵に会ったのは、5年前だった。その頃、新婚間もない私達はこれからの幸せな家庭を夢見ていた…そう、由梨絵に会うまでは…妻の喜美は回りに友人も居ないこの土地に一生懸命親しもうと努力した。ある日、見知らぬ女性が助けを求めてやって来た。ピンポ〜ン、ピンポ〜ン…「はぁい、どちら様ですかぁ?」インターホンの画面には45、6歳の女性が立っていた。「すみません…。申し訳ありませんが、お水を一杯頂けま
    紗依枯(さいこ)さん作 [716]
  • 屋根の上 8

    「ふーん」ようやく起きた春樹が、僕の話を聞いて、そう言った。事故死か他殺か自殺か。それをまず調べよう。これが僕の提案だった。「ふーんって、何か他に考えでもあるの?」余りに興味が無さそうな反応だったので、思わずそう尋ねた。「いや、別に」ねーのかよ。「ただ、お前の記憶力のなさに感心しただけだ。屋上の事なら、むっちゃんが何か知ってるだろ」あー忘れてた。春樹の言葉で肝心な事を思い出した。基本的に屋上は、常
    をんさん作 [627]
  • 屋根の上 7

    春樹が寝てしまったので、僕が謎を整理しよう。この事件?事故?には3種類の謎がある。正確には3つの可能性と言った方が適当だろう。1つは事故死の場合。2つ目は自殺の場合。最後が他殺の場合。事故死ならこの事件の謎は何故あの時間帯にあの場所にいたのか。何故目撃情報が少ないのか。何故薄着だったのか。この3つとなる。自殺の場合は何故事故防止用のフェンスが落ちていたのか。という謎が。他殺の場合、何故あの時間帯に
    をんさん作 [992]
  • 屋根の上 6

    「仄原御也は有名だったんだな」僕の報告を聞いた春樹は、開口一番こう言った。図書室にて。昼下がりの微睡みの中、自堕落に僕らは向かいあって座っていた。カラダをだらりと机に預け溶けるように、揺らめくように。惰性を貪っていた。「まあね。盲目なんて、そうそう滅多にあるもんじゃないし。まあ君の方も結構有名だけどね」欠伸混じりで応える。「そのわりには、大した情報はねーのな」伸びをしながら春樹が言う。「うるさい。
    をんさん作 [692]
  • 屋根の上 5

    長瀬一美。役割:野次馬2。「何か警察の人が首捻ってたよ。私も詳しくは知らないんだけど、仄原君の、その、、し、死体?に不信な所があるんだって」3年2組の教室前。水素の様に軽い口で長瀬先輩は言った。秋も深まったこの時期に、浮わついた噂話に花を咲かせるのは如何なものか。一応受験者だろ。僕は苦笑を禁じ得ず、彼女の話に耳を傾ける。「不信な点?死亡推定時刻と盲目な事以外で?」「うん。最近めっきり冷え込んでるじ
    をんさん作 [610]
  • 屋根の上 4

    学校にはほぼ全ての役割が揃っている。容疑者被害者加害者デカ探偵助手情報屋野次馬。ここでいう探偵とは春樹の事で、助手は僕だ。では誰が容疑者で被害者で加害者でデカで情報屋で野次馬なのか、と言うとそれはこの学校の生徒達である。容疑者役と加害者役はまだ未定だけど。さて、ここで聴き込みの話に戻ろう。上記の中で、聴き込みをするのに相応しいのは、と言うと、やっぱり情報屋と野次馬になる。以上の点を踏まえ、僕は今、
    をんさん作 [637]
  • 屋根の上 3

    捜査の基本は足である。だから走査と書く方が、適当かもしれない。まあ何にせよ僕達は走ったのだ。聴き込みのために。事件解決のために。とは言っても春樹はあんなだし、結局は僕一人での走査になったのだけれど。「俺は走査するお前を操作するから」等と巧くもない言葉遊びでのらりくらりと僕の追求をかわした春樹は、図書館へと消えて行った。「お後が宜しいようで」と残して。仕方がないので、僕はワトスン君になった。因みに図
    をんさん作 [699]
  • 落下中にて 2

    この"お化け屋敷"に集まるのは毎年の事。毎年毎年飽きもせず弔いもどきのばか騒ぎ。でももう大丈夫。それも今日でお終い。ちゃんと殺してあげるから。"お化け屋敷"の正式な名は"哭鳴館"(なきめいかん)と言う。一応、鳳財閥の所有する由緒正しき館らしい。まあ俺にとってはどうでもいい事なんだけど。兎に角、俺はその館の全貌を見る事の出来る場所にいた。荷物運びとして。「ほらほら。愚痴ってないで手伝ってください」
    をんさん作 [703]
  • 屋根の上 2

    宮城春樹は、謎だらけの男だ。一応僕とタメで、同じ春日井高校に通う2年生なのだが、何故か制服を着ない。不良が制服を着崩す、とはまた違う次元で、制服を着ない。変形のガラシャツにレザーのライダース、真っ黒のスキニーに14ホールの、厚底ワインレッドのブーツ。これが彼の普段着だ。ちなみに僕は制服だ。意味がわからない。何故彼が、そんなロックな服装で登下校するのかも謎だが、それを注意しない学校側も謎である。噂で
    をんさん作 [673]
  • 屋根の上 1

    僕の通う学校で男子生徒が一人、命を落とした。墜とした、と言った方が的確かもしれない。彼は墜落したのだ。学校の屋上から。彼の亡骸の近くには、古くなって錆びついた事故防止用のフェンスが転がっていた。彼の死は不運な事故として扱われた。馬鹿な大人たちは、月並みのように責任の押し付け合い。どうやら学校側に非があるということで、話が落ち着きそうだった。しかし、彼の死には不思議な点が二つかあった。一つ目は彼の死
    をんさん作 [616]
 
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