トップページ >> ノンジャンルの一覧
ノンジャンルの携帯小説に含まれる記事が5567件見つかりました。
-
摩天楼 その10
ココは葡萄パンとパックのジュースをマーチにあげた。リリィの為のものであった。リリィはがらくた漁りをやめて車内に戻っていた。少し埃っぽくなっていた。リリィは少しうとうとしていたが、マーチが窓を叩くのに気付くと、はっと目を覚まして窓を開けた。マーチが差し出したパンを嬉しそうにがつがつ食べた。マーチはお嬢様の威勢のいい食べっぷりに見とれた。あっという間に全部食べ切ってしまった。「色々ありがとう」お嬢様
river さん作 [407] -
摩天楼 その9
リリィは退屈していた。マーチと別れてから全く車内から出ていない。廃車の中はタオルくらいしか無かった。リリィは欠伸をしながら廃車から出た。陽射しが眩しいので少し目眩がする。リリィは大きく伸びをして、廃車置き場を彷徨き始めた。色褪せた埃っぽい廃車が何台もある。タイヤが欠落したものやガラスが割れたものも見られる。廃車の森をさまよっていると、がらくたの山を見つけた。リリィはその山を漁ることにした。日が傾
river さん作 [377] -
摩天楼 その8
廃れた街の中心には広場がある。そこにも昔は店が立ち並んでいたが、今はどの店も閉まっており浮浪者の溜まり場になっていた。広場の隅には小さい通路がある。マーチは薄暗い通路を進むと行き止まりだった。床に大きな蓋だけがある。マーチは蓋を開け、穴の中に入った。穴の向こうはさらに暗くなっていた。蓋を閉め、マーチがレインコートのポケットからライトを取り出して灯りを付けると長い階段が現れた。階段は地下に続いてい
river さん作 [406] -
摩天楼 その7
渡された札束を手に、マーチは困惑した。「私家出したの。これにいくら入ってると思う? 三百万よ。金庫から持ってきたのよ」リリィは札束の入ったボストンバッグをボンボン叩く。マーチは札束をリリィに差し出した。「なによ、要らないの?」「貰えないよこんなの」寡黙なマーチがはっきり言ったので目を丸くするリリィ。「どうして?」「…きみの家の金でしょ」マーチには金などどうでも良かった。渡された札束はリリィに返さ
river さん作 [366] -
親孝行したい時には親は無し・2
僕に父親の記憶は無いが、凄く大切な存在で大切な、思い出だ。僕の父親は、母親が言うには、僕が7ヶ月のころ、出張に行く途中に子供が車にひかれそうになっているのを助けて、身代わりで亡くなったらしい。出張に行く前家に会社からもどり、僕に『パパがいない間ママのことよろしくね』と言って出掛けたらしい。7ヶ月の僕に重大な事をまかしたものだ。でもこんな父親が大好きだ。攻めてもう少し、もう少しだけ、生きていてほし
リア さん作 [261] -
親孝行したい時には親は無し・1
僕は親孝行というものをしたことがない。『親孝行したい時には親は無し』とは良く言ったものだ。あれは15年前になる。僕が産まれて7ヶ月たった時の話だ。僕には記憶は無いが母親が話してくれていた。僕の父親は15年前に亡くなった。母親が言うには、父親は僕に激愛だったらしく、産まれた時凄くよろこんで、喜びすぎて、階段から転げ落ちたらしい。どうりで僕のドジなのは父親譲りらしい。僕の父親は僕の面倒を凄く見てくれ
リア さん作 [320] -
摩天楼 その6
金髪のココは酒場の店主の娘である。酒場は町の人が多く訪れる。彼女はよく店を手伝うことがある。ヒオやジンザと出会ったのもこの店である。ココは洗い物をしながらラジオを聴いていた。手前にヒオが座っている。やはり市長の娘の話題だった。「ねぇこれって」思いついたようにココは口を開く。「昨日のあのこじゃない?」「やっぱり?」ヒオは飽きてきたようだ。「まだ車の中?」「さぁ。今朝からマーチにも会ってないしね」コ
river さん作 [371] -
摩天楼 その5
レインコートの青年は廃車置き場に向かい、少女のいる車を覗いた。後部座席に少女の姿がない。帰ってしまったのか。青年がドアに手をかけると、突然目の前に「わっ」と声を上げて少女が現れた。青年は驚いて尻餅をついた。少女が窓を開けてくすくす笑っている。青年はちょっと赤くなって立ち上がった。「貴方の車? ごめんなさいね。占領しちゃって」ゆうべは分からなかったが、少女の目は大きく、睫毛は長い。青年はゆっくり首
river さん作 [374] -
サンニン
なぜ、これだけの不満を持っていながら、俺は10年間、カオルとやっていけたのだろう。“やっていけた”?その言葉さえさだかではない。 でも最近、カオルはおもしろいことを言って周りをよく笑わすようになった。 人間は日々変わっていっているんだと、その姿を見てなんだか悲しくなってしまった。 元気のよかった俺は年を重ねるごとに内向的になり、引っ込み思案だったカオルは、たくさんの人と話すのが好きになった。
兄さん さん作 [428] -
未設定ー30ーキミは誰?カツミとアフターとアユムの世界
ダイヤルを押した!『ずっと抱きしめて〜?』森山直太朗の『愛し君へ』がかすかに聴こえる。某テレビ番組、僕らの音○が好きで録画してはヒマヒマに見ていたがこの曲には心打たれていた、最近ハマりぎみである。営業でも歌わされる時にはコレをチョイスしては、姫様(客)の心をつかむのだ。そんなことはどうでもよくて、携帯、携帯を見つけなければ…。着信音のするほうに目星をつけて、衣装部屋へとやってきた。が…音が切れる
未伊子 さん作 [454]