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ノンジャンルの携帯小説に含まれる記事が5567件見つかりました。
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「まだ始まっちゃいねぇよ」第二回
すべてが中途半端だった。28年間生きてきて、本気で何かに打ち込んできた記憶がない。たいした趣味もなく、ダラダラと生きてきた。ただガキの頃からある、強烈な欲求が一つ。「強い男になる」臆病で気が弱く、いじめられっ子だった俺は「強くなりたい」欲求が強い。そして、プロボクサーが主人公の映画に影響され、21歳の時にボクシングジムに入門した。<続く>
マサル さん作 [215] -
越後の龍
越後の長尾家当主為景が戦で討ち死にして、長男の晴景が当主になったのだ。が、器量も人望も無く、父為景が越後一国をほぼ治めていたのだが、晴景が当主になってから晴景の居城春日山城の周り僅か二郡しか治められなくなっていた。日夜酒に溺れ京から大金をはたいてどこぞの公家の女を買い、夢中になり、それに不満を持った家臣が謀反を起こしても気付かない始末。そして晴景が一番信頼していた家老の昭田常陸守が晴景を春日山城
けい さん作 [231] -
武士になりたくて3
「裏山に逃げよう」小一郎の声が震える。村のすぐ傍に小高い山がある。その山を越えて左に行けば堺の町、右に行けば京の都がある。母とねと虎之助と小一郎の三人は裏口へ、兵士達に見付からずに裏山に向かう事ができた。しかし、途中兵士に見つかってしまった。「捕らえろ!」三人は無我夢中で走った。足が早い虎之助、少し遅れて小一郎、さらに遅れて母とね、あと少しで裏山に入れる所でとねが石に躓いた。虎之助は振り返った。
けい さん作 [212] -
梯子
悟られないように繕った壁が助けを求めるもう立ってられないこれ以上嘘を吐くのは御免です向こう側から放り込まれた救いの綱は容易く千切れて僕らを笑う目をつむれば朝の光を感じる喜びの音が聴こえる探していたものは本当は僕自身が隠してたんだ
カズ さん作 [254] -
朝野と夢野──本来の自分──8
とても切なく、ぼくの記憶に花の残像が刻まれていく。橙(オレンジ)の色は落ち行くごとに鮮やかさを失って赤黒くなっていった。くすんで暗く、生気がない。それはナイフを突き立てるようだ。ナイフを抜き取ったときの飛沫(しぶき)は以前のように、ぼくを奮い立たせることができるだろうか。「過去」「現在」「未来」すべての言葉が重苦しい。こういうぼくは、大地震で倒壊した家屋に下敷きにされ、そのうえ重々しく降ってきた
京野一芽 さん作 [378] -
遺書−私と彼女という現象−第十五話−
「『A』…私に…どうしてほしいの…?」その言葉に『A』は不思議そうに瞳が閃き、狂気は僅かに揺らいだ。まるで私が何を言っているのか分からなかったかのように。「『A』?」「あなた、気がついてないのね?」暫くして『A』は呟くように囁いた。「?……何の事?」聞き返す私に『A』は寂しそうに微笑んで、静かに私を見つめた。「ごめんね、こんな事になって……。」「何で謝るの?謝るより、もっと違うことが…」『A』は
あきは さん作 [282] -
洋灯
「お前は実に気味の悪い人間だな」「そうかい。それは誉め言葉として胸にひっそりと、しまっておくよ。ありがとう」そう言って、ぼくと霊池は笑った。別に面白くて笑っているワケでは無い。「お前は名前も変わっているし、性格も歪んでいるよな。」「性格は認めるけど、名前の事は言うな。結構気に入ってたりする」「嘘だね。仮に本当だとしても、それはイかれてやがる。だって、その名前はお前自身が付けたんだろう?」「…」だ
シュガー さん作 [226] -
いつか訪れるその日まで…
私たちは生まれたその日から死に向って少しずつ歩いて行く時々真っ暗な中で目を閉じていると「死」の音が聞える気がして恐怖感を抱く私の身体はどうなるの?私の想いはどうなるの?私は無くなってしまうの?得体の知れない恐怖で眠れない夜を過ごしている今何処かで自ら命を絶つ人がいる何処かで悔いを残して逝った人がいる何処かで人の命を奪う者がいる何処かで悲しい戦いに巻込まれた人がいる何処かで飢えに苦しみ亡くなった子
レオン さん作 [408] -
遺書−私と彼女という現象−第十四話−
『A』は、狂気じみた眼で微笑み言う。「貴方は生きていたいんだものね……」 『A』の言葉は、狂気じみて私には意味ありげで、そのくせ意味が通じない。「遺書ももう書いたのよ?話したかしら。」フフと『A』は、狂気の篭る声で微笑む。どうしたら、この狂気を止められるのだろうか?病院に入院?でも、『A』は狂気を隠す事が出来るのだ。私の前でだけ、この狂気を曝しているのかもしれないのだ。「なんで…私に……話すの
あきは さん作 [325] -
朝野と夢野──本来の自分──6
はあ! やっとあのいかさまな門の密集地帯を抜けられた。右に門があれば左に避(よ)けて、左にあれば右に避ける、両側にあればトラックが来ないうちに走り抜ける、こういう情けない行動はおれの好むことではないのだが、何とはなしに我慢して進んできた。今は、ざわざわと不気味に音を立て続ける長くのびる林と、それに吸い込まれていくようなまばらに散在する粗末な家とに、押しつぶされてしまいそうな、さっきよりもこぢんま
京野一芽 さん作 [382]