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ノンジャンルの携帯小説に含まれる記事が5567件見つかりました。

  • 朝野と夢野──本来の自分──5

     概してぼくの三半規管は正常に機能しているのかわからない。というのは、結局はうまくバランスを保つものの、その事前には必ずピサの斜塔のように傾いているからだ。ぼくを健常者として見ている多くの人々は、ぼくをちゃんと見ていなかったり、ほとんど無き者にしていたり、たとえ見ていてもぼくが直立しているときにだけそうしていて、危うく倒れそうになっているときには別のことにかまけていたりする。つまり、そういったこ
    京野一芽 さん作 [365]
  • 朝野と夢野──本来の自分──4

    あまりにも部屋の中で鬱屈(うっくつ)していると表情も何も曇ってしまうので、ぼくは時折窓から景色をのぞき見るようにしている。残照も月も星も消えた夜からは、耳を澄ませば悲哀を感じさせる物静かな雨音がいつでも聞こえてくるような気がする。けれども風──時を含み持ち、自身が流れることでもってそれを流し、またその連鎖で水をも流すもの──が吹いていることでなんとか気晴らしにはなる。視線は、いつしか点いた蛍光灯
    京野一芽 さん作 [356]
  • 朝野と夢野──本来の自分──7

     夜、ビルの屋上に突風が吹くと手に持っていたノウゼンカズラの花が、勢いよくまるでフリスビーのように十メートルほど前方の宙に飛んでいき、それから旋回し少しだけ戻ってくると、急速に力を失った。ぼくは、反射的に後を追っていった手をゆっくりと引き込めながら、心の中で「もう二度と帰ってこないんだ」と、確かめるかのようにささやいた、「鮮やかな色彩も、褒めることのできない臭気も」。そうして、午前中の残暑の熱が
    京野一芽 さん作 [500]
  • 「まだ始まっちゃいねぇよ」第一話

    「まだ始まっちゃいねぇよ」主人公の一人がそう言ってその映画は終わった。「はぁ」っとため息つき、俺はソファーに沈み込む。もう何回この映画を観たのだろう…暗い部屋の中、映画のエンドロールを見つめながら煙草に火を点ける。「もう29になっちまう。」一服目を吐き出したあと、俺はそう呟いた。最近、いつも悶々としている。20代が終わる焦り。やり残している事への焦り。もう時間がないのは分かってる。もはや「先延ば
    マサル さん作 [295]
  • 武士になりたくて2

    虎之助の父佐吉は、元々侍大将だったが、戦で受けた傷が元で足が悪くなり、暇を貰って虎之助が生まれる十五年前にこの村に越して来た。母とねとはこの時に知り合った。侍大将だった頃に貯めていたお金で、小さなボロ家と小さな畑を買い、貧乏であったが幸せに暮らしていた。しかし、戦で受けた傷が元で今から三年前に死んでいた。虎之助は、父が侍であった事は母から聞いていたが、詳しくは知らない。父佐吉も皆に詳しく話してい
    けい さん作 [248]
  • Americano

    国道沿いをドライブしていたら彼女の《C》が喉が乾いたと言い出した。彼女はいつも水分不足気味。仕方なくコンビニで150円の水を買ってやった。《C》はアメリカ生まれの11歳の白人。カーステでロカのゴキゲンなナンバーを流せば黒くて長い瞼でシャッフルを刻み出す始末。俺もつられてホーンを鳴らす。イメージはさながらブライアンのチョーキングかな。その日は河川敷へBMXの練習をしに行ったんだ。MCCOY'Sのパ
    よっこ さん作 [212]
  • 朝野と夢野──本来の自分──3

     猫は、月の無い夜でも、そのわずかな光を目の中で反射し活用することで、五里霧中の状態に陥らなくて済む。朝野くんが眠ってからまだ三十分と経(た)っていないのに、もうぼくにはこの場所が、さわやかな朝日が差し当たるベッドの下の真っ暗な空間にしか見えていない。残念なことにぼくは猫の目の能力を有していなかった。猫の真似をして、いたずらに黒目を大きくするばかりだ。これでは頭もぶつけかねない。 おい、おまえ!
    京野一芽 さん作 [368]
  • Forgot-5

    月日は飛ぶように過ぎた。いや、実際にほとんど省かれていたのだが、彼はそのことに気付かない。前述した通り、普通は夢に疑問を抱かないのだ。亡くなった母親の存在に気付いただけでも、彼にとって奇跡に近い。そして彼は、あの日が近づいているのを感じた。ある時、突然母親は入院した。父親と医者は「検査入院だから、大丈夫だよ。」と言った。だが、彼は知っている。この半年ほど先の母親の運命を。そして、彼は決意した。母
    黒和 さん作 [409]
  • ある風景 ? 家庭崩壊

    フミは、母親依存症だった。その原因の一つとして、彼女の父親が、仕事一筋で全く家庭を省みようとしない男であったことが、考えられる。フミの母親は、そんな夫といつも口喧嘩が、絶えず、父親不在のような家庭で、次第に母親は、娘のフミにしか、生き甲斐を感じられず、異常な執着心を娘に持つようになっていった。フミ自身も、イジメにあった経験から、そんな母親に救いを求め、癒着の関係が、母子間でできあがってしまってい
    マリリン さん作 [442]
  • 最後の審判 2

    理亜は、這うようにして、寛の魔の手から、逃げまどう。台所へ、風呂場へ… 風呂場では、浴槽に顔を沈められて窒息しそうになりかけた。 やっとの思いで、家の外へ逃げ出した理亜は、フラフラと放心状態で、真夜中の街を、行くあてもなく彷徨いだした。 「何故、あそこまで、寛は激怒したのか?」理亜には、さっぱり理由がわからなかった。むしろ神への祈りこそが、唯一
    マリリン さん作 [385]
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