トップページ >> ノンジャンルの一覧
ノンジャンルの携帯小説に含まれる記事が5567件見つかりました。
-
七日七晩の慟哭4
この辺りで古い建物と言えば住宅街のど真ん中にある町民会館位だ。会館は菜那の祖父がこの町に越して来た時すでにあったと言うから、ゆうに築40年は経っているだろう。小学生の頃夏に町内会のレクリエーションで泊まった経験があるが、その時やった肝試しとろくに明かりも点かない汲み取り式のトイレ、どちらがより恐かったかわからない。(あんな場所でセミナーなんて、ますますもって胡散臭い)道を尋ねた人びとは揃って同じ
伯修佳 さん作 [392] -
七日七晩の慟哭3
菜那は普段から確かに見知らぬ他人から良く話しかけられるという不思議な特技?を持っている。17歳の女子高生で外見もそう悪くない、というオプションを付ければそれはナンパかと考えそうだが、幸か不幸か道を尋ねられるのが相場だった。とはいえ余程お人好しそうな顔をしているのか、たまに宗教の勧誘やキャッチセールスにも捕まる。この間なんて「5分でいいから私の悩みを聞いて下さい」と年配の男性に話し掛けられてしまい
伯修佳 さん作 [361] -
七日七晩の慟哭2
だが何度か手に意識を集中させているうちに、ほんのわずかだが指が動いた。「これは…。キース、もう筋肉が自発的に動かせるようです」「心拍数も異常なし。脳波も安定している。そろそろ覚醒するだろう」感嘆を隠せない男の態度にあくまでキースと呼ばれた女は素っ気ない。一方傍観者で主観者の『彼女』は、自分の行動に周囲が反応した事に戸惑いを覚えていた。―何だ、この展開は。そんな疑問などおかまいなしにキースはふと自
伯修佳 さん作 [435] -
七日七晩の慟哭1
漆黒の闇の中に、一瞬だけ鈍い光が射して、彼女は初めて自分が暗闇にいる事を認識した。「瞳孔が反応しました」「早いな」どこからともなく声がする。最初のは男、次は女。声の様子からするといずれも若い。おそらくは20代前後だろう。だが彼女の意識はどこか朦朧としていて遠く、まるで現実感がない。「もう1体の方はどうだ」女が男に問う。言葉は堅く声音にも抑揚は無いが、涼しやかによく通る声だった。威圧感すら漂ってい
伯修佳 さん作 [439] -
リスカ
リスカリストカット━━刃物で自分の手首を切る事‥‥初めてやったのは中2の春━━わたしの一番大事な親友がやっていたのを知った。その傷を見た時わたしはとても悲しかった‥一体何があったの?何がこんなに〇〇を追い詰めたの?━━こう想った。わたしはそれまでリスカをする意味もなければ、リスカをする勇気さえなかった。だけどわたしは何を血迷ったのか気付けば自分の手首を既にカッターで切っていた。親友と同じ苦しみを
ぢゅリ さん作 [986] -
重心
家族に対する思いは日を生う毎に辛くなっていった、玄関先まで出社を見送る妻はいつも笑顔で苦を見せない人だった、アスファルトの道を目的なく歩く、とりあえず駅まで行ってみるけれどそれ以上は進まない、騙しを繰り返す生活は一ヶ月にも及んでいた、妻は懸命に家事と育児をこなしている、夫に対する不満を漏らす暇なく働いている、駅の前で元サラリーマンが演じる虚しい悲劇、観客は悲劇の存在を知らない、騙すコトがいつか無
leaf→leaves さん作 [467] -
blessing 2
心から祈る。───そんなものしたことはなかった。カミサマに心からの祈りを捧げることも、誰かの為に心から祈ることも、そんな事など、一度もない無論、自分自身への祈りも、したことなどない。祈る為の手は、すっかり血に濡れてしまったから。廊下を歩けば、皆チラチラと私を見る。ある意味での有名人───というようなもの。でも、お世辞にもいい立場じゃないけれど。世間で言う「リストカッター」「メンヘラー」とかに私は
時雨 さん作 [407] -
怨念 完
明人『………』明人は怖いくらいに無機質な表情。洋平『路地裏でね…貴方が殺していたのを見てたんですよ』明人『ほぉ…』洋平『首はどこだ!と連呼していた。貴方しかいない』俺はこの男を探していたのだ。明人『私を殺すのなら、喜んでその手にかかろう』あんたを殺す気なんてないさ…あんたはあまりにも気の毒な人。明人『だが…私が奴を殺してからにしてくれないか?』断る権利は俺にはなかった。洋平『…あぁ』俺は明人に奴
森田 さん作 [625] -
怨念?
夢を見ていた…それは懐かしい…昔の記憶…洋平『………』目を覚ませばそこはいつも見慣れた自宅の天井…ならよかったものの。明人『やぁ、おはよう』明人の満面の笑みが目の前あった。明人『また長い間気絶していたね』いったい何日寝ていたのか聞きたいがなんだか面倒だ。洋平『井口さん…記憶、戻りましたよ』明人『本当ですか!?犯人は?誰だ?誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ!』肩を強く掴まれた。目が正気じゃない。洋平『
森田 さん作 [594] -
blessing 1
窓際の席、前から6番目そこは、私の特等席。空が、綺麗だった。雲と青空が交じり、晴れているのか曇っているのかよくわからない微妙な空の色が、私の目には凄く綺麗に見えた。正直、驚いた。壊れた人形のような私の心にまだそんな感情が残っていたなんて。感情は消え失せ、涙すらでない、渇ききった心に残ったものなんて無いと思っていた。けれど、私は綺麗だと感じた。今窓に映る空の色を。でも、それで何かが変わるわけじゃな
時雨 さん作 [414]