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その他の携帯小説に含まれる記事が2136件見つかりました。
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異界の住人?
「ふぅむ、…この辺りが震源の様じゃ」高みから地上を見下ろしながら呟く朱雀。その巨大な翼がゆるやかにはばたくたびに、中原健次の頭髪や衣服が烈風にあおられる。「うわっ!うわっ、…す、朱雀さんよ…。落とさねーでくれよな」「おお、忘れておった。丁度よい、そこで我が力を存分に見ておれ」セスナ機ほどもある朱雀の体が《カッ》とまばゆい閃光を放ち、太陽光を凌ぐ強烈な光が地表の一点目がけて収束する。「おわっ!…な
朝倉令 さん作 [655] -
誕生日
年に一度の誕生日の日がきた。もう何回目になるのかは忘れてしまったけれど。今日が私の誕生日だ。でも、そう思えるのもあと数時間だけ。一昨々年、私の誕生日を父と母と妹が祝ってくれた。一昨年、母が死に、それでも父と妹が私の誕生日を忘れなかった。去年、父が死に、しかし妹が私の誕生日を覚えていてくれた。そして今年、妹が病院に運ばれ、あと数時間でその命が尽きようとしている。私は自分が生まれた日を知らない。生ま
日山 扇 さん作 [535] -
心神新鮮シンドローム
「ブラザーを外せ。」一体何を言ってるんだこのカタツムリは。そもそもオカシイじゃないか。カタツムリの分際で喋るのか?一体どこに声帯があるというのだ?いや!カタツムリに声帯はない。ということは私の幻聴なのか?幻聴が聞こえるということは少なくとも正常ではない。疲れか?いつの間にか精神を病んでいたのか? 「カベルネ・ソーヴィニヨン」はっ!ま…また聞こえた!な…なんだっけカベルネソウビニオンって。乳酸菌の
AVA さん作 [284] -
生きるって
次の週、私は産婦人科へ行った。お腹の大きな妊婦さんから、中年のおばさん、赤ちゃんを抱いたお母さん。なんだかここにいるだけで泣きたくなってきた……あの人達は産めるのに…私は……診察の順番が来て診察室へ通された。とりあえず赤ちゃんの様子を見る為エコーを撮る。白黒の写真には小さな命が写ってぃた。私ね赤ちゃん………『どぅしますか』『…』『産みますか』『……おろ、します……』自分の口からそんな言葉が出たの
里美 さん作 [365] -
神龍湖ぱーと?-?
バアちゃんとボクは、神龍湖に向かった。バアちゃんは、ボクに神龍湖の伝説を話してくれた。「克、神龍湖には夜になると、綺麗な女の人が現れるんだよ。その女の人は、神龍湖に水浴びをしに来てるらしいんだけど、その人を見ることができれば願いが叶うって言う、よくありそうな伝説があるんだよ」ボクは、へぇ、と言った。ボクは、そういった話が好きだ。「そうなんだ。毎晩、その女の人来るの?」「そうだね〜。ほとんど毎日か
夢見大 さん作 [296] -
神龍湖ぱーと?-?
先生が家を出ていったあと、バアちゃんがボクにこんな話をしてくれたことを、覚えている。「克、あの先生のこと、恐いだろ?」どうしてわかったんだろうと思いながら、ボクはうんと答えた。「なんでなんだい?悪い人じゃないよ」「だって、直感的に危ないって思ったんだ。それに、恐い笑い顔でボクと握手をしたんだ。バアちゃんからは、見えてなかったと思うけど。先生は、なんか隠してる気がする」ふーん、とバアちゃんはちょっ
夢見大 さん作 [328] -
夢を聴かせて
巳夜(みよ)ちゃんの夢は何ですか?昔、まだ私が保育園に通っていた頃、そう訊いた人がいた。その人が誰だったのか、保育園の先生だったのか母親だったのか父親だったのか、それとも全く知らない人だったのかは忘れてしまったけれど、とにかく、私にそう訊いた人がいた。私の、夢。私の夢は――あの時、私はその人に、その質問について何かを言ったと思う。それが質問の答えだったのか疑問だったのかも忘れてしまったけれど、と
日山 扇 さん作 [340] -
本当の自分
私は本当の自分を出せるまで随分と時間がかかった。幼い頃から外ではおとなしく周りの人からは口数の少ない変な子だと思われていたと思う。不思議な事に家では真逆でうるさい位だった。 私の人生で一番最悪だった時期は中学時代だった。 本当の自分が出せず体は自分なのに自分じゃないような変な気持ちだった。変われたのは高校に入ってから…いま思ったらなんで最初からこうしてなかったんだろうとおもう。高校に入ってから初
あい さん作 [428] -
悲しいおにぎり(最終章)
そのとたん、急にももちゃんの目から涙が溢れだしました。ももちゃんは、もうひとくち、もうひとくちと泣きながらおにぎりをかじりました。泣きながらかじるおにぎりに味などありません。おにぎりの塩味なのか涙のしょっぱさなのかさえくべつがつかないものです。飲み込む時ののどの痛みだけが、ももちゃんに感覚を与えているようでした。(どうして、お家に帰らないのだろう?どうして?どうして?…)ももちゃんの頭の中を、こ
花の子 さん作 [407] -
悲しいおにぎり(3)
お父さんは、汗をいっぱいかいて大きな穴を掘っています。お父さんは、庭に池を作っているのでした。「お父さん、まだ帰らないの?」待ちくたびれたももちゃんが尋ねました。お父さんは、その手を止めることなく静かに答えました。「もう、お家には帰らないんだよ。」ももちゃんは、返事も出来ないまま立ちつくしていました。にぎっていたれんげ草は、いつの間にかももちゃんの足元に悲しげに散れています。ペタン、ペタン、ペタ
花の子 さん作 [332]