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その他の携帯小説に含まれる記事が2136件見つかりました。
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もうひとつのイソップ物語5
おそるおそるドアを開けると、そこには熱にうなされぐったりと横たわったきりぎりすの姿があった。「おい、大丈夫か?」思わずありは叫んだ。 返事はなかった。きりぎりすはただ苦しそうにうなされている。 もう、きりぎりすのことなど案ずるのはやめようと心に決めていたありであったが、やはりその姿を見てほおっておくことは出来なかった。 ありはいったん外に出ると、水や薬草、食料などを運んできた。そして一晩、一睡
つぼみ さん作 [276] -
もうひとつのイソップ物語4
「君は、そんな暮らしをしていて、それで満足なのかい?たったひとりで孤独に暮らし、寂しくはないのかい?このままでは、君の未来はないに等しいんじゃないのかい?」と。 するときりぎりすは、「僕は、ヴァイオリンが上手くなりたいだけだ。他に求めるものは何もない。もし僕に寂しさがおとずれる時があるとするなら、それは、ヴァイオリンの音色を失った時だ。」と、言った。 遠くを眺めながら強く放たれたその言葉は、その
つぼみ さん作 [268] -
もうひとつのイソップ物語3
そんなきりぎりすのヴァイオリンは、朝から晩まで草原に鳴り響いていた。それを喜ぶ者もいれば、不愉快に感じる者もいる。 夏の眩しい日差しの中、時を惜しむように働いているのはありたちだった。冬の間家族が食料に不自由することがないようにと今から食料を集めているのだ。 中でもそこの主は、誰よりも熱心に働いた。歳はきりぎりすと同じ頃だ。しかし彼は、きりぎりすとはまるで違い家族を守るため父親として懸命に働い
つぼみ さん作 [278] -
もうひとつのイソップ物語2
彼の父親は、この世界でも有名なヴァイオリニストで、王様の前で演奏したことがあるほどの腕前だった。 彼がヴァイオリンを奏でると、森中がいっせいに目を覚まし、そこには、それぞれの命に響き渡るような大きな波が生まれた。 少年だったきりぎりすは、そんな父親を心から尊敬していた。母親もまた、夫であるそんな父親を尊敬し愛していた。 けれども三年前、急な病で父親はこの世を去った。そしてそのあとすぐに、連れ去ら
つぼみ さん作 [282] -
もうひとつのイソップ物語
「ありときりぎりす」 朝のやわらかな光が、つゆを抱いた草花たちにいっせいに注がれる。それは、「今日も1日、精一杯輝きなさい」と贈られる神様からの愛の印。 その草花の間をぬうように、可憐なヴァイオリンの音色が草原をうめていく。草原いっぱいに広がったその音色は、朝露に濡れた草花や、やわらかな土、水色の空にとけあっていくようだった。 ヴァイオリンを奏でているのは、いっぴきのきりぎりす。彼はもうりっぱな
つぼみ さん作 [293] -
女の生体と俺の諺☆恋愛編
女っていう生き物は嘘をつくだがそこが可愛い嘘ならいいしまいには泣くこれも演技だ自分の為ならなんだってする辛くなり俺は色々言ったら捨てられたまあ都合のいい男というやつだ!俺は女と生き物がよくわからなくなったただみんながこんな人じゃないそれからは俺も考え方を変え雲のようになった女はわがまま男は気まま
無限大 さん作 [355] -
雨はあがるから<2>
「離れてください」救急隊員の一人が、僕の肩に手を置いて言った。他の隊員は彼女の傍にしゃがみこんで何かをしている。しばらく呆然とそれを見つめていた。その間、僕の肩に手を置いた隊員は何も言わなかった。急かそうともしなかった。さっきよりもだいぶ雨が強くなってきた頃、「――わるな、触るな」不意に思い出したように声を出した僕に、救急隊員の男は驚いたようで、「あ、すみません」僕の肩から手を放した。「さあ、こ
日山 扇 さん作 [317] -
雨はあがるから<1>
世の中悲しいことばかりじゃないよ。ほら、雨だってずっと降ってるわけじゃないでしよ?それといっしょでさ、悲しいことはずっと続かない。雨が降った後は晴れるでしょ?それといっしょでさ、悲しいことの後には嬉しいことがあるんだよ。だからずっと泣いてないでさ、ほら、嬉しいことを探しに行こうよ。「そりゃね、僕は確かにそう言ったけどさ、これはさすがに予想できなかったよ」ポツポツと降っている雨が、昼間の内に熱せら
日山 扇 さん作 [329] -
りんごの分け方
問.りんごが3つあります。5人で分けたいのですが、どうすればうまく分けられますか。「ジュースにすればいい!なんていうけどさ、たとえジュースにしたって、ぴったり分けるのは難しいぜ。てかジュースって……手間かかりすぎだろ!3時のおやつにどれだけ時間かけてんだよ。オレならもう2つ買ってくるね」「なんだよ、その『パンがなければケーキを食べればいいじゃん』みたいな発想。それじゃ問題が成り立たないだろ!」「
日山 扇 さん作 [354] -
S×S 最終話
【バキッ!】「デュース!」という声がアリーナに小さく響いた。「ハァ、ハァ…いつもお前との勝負は……!」『ハァッ、ハァッ……もぉさ、技の勝負はキツイね』「ふぅ……久々にやるか」『あぁ、やろうか…!』二人はニヤリとわ笑って、それぞれ独特の構えを取った。昔、冗談半分でよくやっていた構えを。真也は腕を伸ばしてラケットで慎治を指した。慎治は左腕を背中に隠して、フォアサイド特化型の姿勢を取る。『「参る!!」
球 さん作 [291]