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SFの携帯小説に含まれる記事が1822件見つかりました。
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MLS-001 006
花鼓のいる病院。一階ロビー。真龍は正面の玄関から堂々と入った。長く艶やかな黒髪が颯爽と歩く肩の上でゆれる。待合室に座る幾人かがふり返り、のぼったばかりの朝日を受けた朝顔のようにわずかに顔を輝かせた。小さくとも花をみると、人は、和む。人混みの中に入って行くときいつも見るこの反応に、真龍は一種の生きがいを感じてた。ただ、早朝の混み合う待合室。振り返る余裕のある者は数えるばかりだった。病院特有の内にこ
砂春陽 遥花 さん作 [744] -
MLS-001 005
2階、一般病棟215号室。二人っきりになると花鼓が口火を切った。「ごめんなさい、お母さんったら変なこと。」明広は何も言わない。「明広のせいだなんて、思うはずないじゃない、ね。」花鼓は点滴のついている左腕に目を落とした。点滴台の上で一点の濁りもない透明な液がぽたっ、ぽたっと時を刻んでいた。「これ、お見舞い。」俯く花鼓の膝の上に、明広は持って来た花束を置いた。みずみずしい赤と緑のコントラストが目に飛
砂春陽 遥花 さん作 [803] -
「君もおいでよ」
「君もおいでよ」 誰よりも聞き慣れたはずのその声は、しかし全く見ず知らずの人間のようにも聞こえ、僕は少しだけ身震いし、その連動のように小刻みに首を横に振った。 これから世界は崩壊してゆく。知ってしまった僕は、それでもただ成り行きに身を任すことしかできないだろう。去ってゆく彼の後ろ姿を眺めながらぼんやりとそんなことを考えていた。 あれからたった5年で世界は凄まじいまでの変貌を遂げた。巨大地震や
kuniichi さん作 [598] -
MLS-001 004
花鼓の居る病院の向かいのビルの屋上。一人の少女が艶やかな黒髪を風になびかせている。真龍は、腰丈しかない柵に半身を預けて空を見ていた。足元に置かれた白い鞄の中で携帯電話が鳴った。「真龍か。」「うん。」名乗るより早く畳みかけられた。薄い携帯の向こうで、小刻みに揺れる肉の塊が見える。「大丈夫。今日はちゃんと仕事、してる。」気が急くと貧乏揺すりをするのが晴牧の癖だ。「期限が迫っている。分かっているな。」
砂春陽 遥花 さん作 [762] -
違う世界(4)
徴兵?「なにを言ってるんです?徴兵制なんて今の日本にあるわけないじゃないですか」戦前じゃあるまいし。「貴様なにを・・・・・・?」なにをはこっちの台詞だよ。「こいつ、なにかおかしいぞ。少尉、君はどう思う」さっきの女だ。近くにいたのか。女は俺の全身を見て、「この反応はおかしいと思います」おかしい?俺がか?「服装、体格、ユスター戦のときの反応、民間人であるとは思います。しかし、中尉へのこの態度。この人
未熟 さん作 [571] -
MLS-001 003
3日後花鼓は病室を移った。2階の一般病棟215号室、一人部屋。病室を移って一番最初に面会に来たのは明広だった。マスクも心電図もとれて晴れ晴れとしていた花鼓の顔に影が射す。「ごめんなさい。」戸を閉めるなり明広は深く頭を下げた。「明くん。」来実子が驚いて声をあげた。ベッドサイドの窓から吹く春風が明広の真っ直ぐに垂れた前髪を揺らす。「違うの。私が、」悪いの。と言いかけて、花鼓は口を閉じた。覚えていなか
砂春陽 遥花 さん作 [767] -
MLS-001 002
激しい痙攣と突然の意識消失。闇、また闇。急ぎ駆けつける医師と看護士。追い出されるように病室を出た来実子は喧騒の外で一人、唇を噛んで鉛色の不安と闘っていた。重い心を支える膝が震えた。廊下の大きめの窓から差し込むうららかな春の日差しも、窓の下に設えた棚の上の青いガラスの花瓶に生けられた色とりどりのガーベラも、目の前の出来事は見て見ぬふりをしている。やがて、辺りに張りつめた緊張の氷は少しずつ溶け始め、
砂春陽 遥花 さん作 [907] -
MLS001 001
白い天井。白い蛍光灯。白い壁。耳障りな規則正しい電子音。息をすれば目の下でマスクが曇る。花鼓は病院のベッドの上で目を覚ました。背もたれもない椅子の上で母がうたた寝をしている。かくっ、かくっと落ちる頭が、転げ落ちないギリギリのバランスを保って止まる。ああ、危ないと思い、起き上がろうとするも花鼓の上半身は鉄の塊のようにピクリとも動かなかった。虚しい抵抗を試みた左腕が、細い管を使って点滴台の先端で透明
砂春陽 遥花 さん作 [1,079] -
表と裏〜?〜
「わかりましたマスター、俺、がんばります?」ダッダッダッ「とりゃ〜、みさキック?」ガラガラガッシャン?「痛い、とてつもなく痛いのはなぜでしょうかマスター」「え〜と、紹介しとくね優太くん、彼女は美咲さんです」「知っていますよマスター、こいつは昔からそうですから」「久しぶりね優太?」「マスター、俺やっぱ辞めていいでしか?」「えっ?なんでいきなり、てゆーか知り合いなの二人とも」「はい、嫌な腐れ縁ですよ
$ラッキー さん作 [500] -
伝染鍵?
バタバタと、とにかく片っ端から訪問したが…皆、ボックスを捨てたり、警察へ届けたり。「もう、時間が無い………。」そんな探しているある日、ボックスを持っているという女性に接触できた。箱には「飲めば天国、飲まぬなら地獄。」と、書かれていた。とにかく量産キーで箱を開けてみた。中からは茶色の小瓶に入った「農薬」と書かれた液体。飲めば天国? 彼女は困惑していた。僕は「飲め」なんて言えるわけもなく、期日まで持
紅 さん作 [546]