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SFの携帯小説に含まれる記事が1822件見つかりました。
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星の蒼さは 63
ハル、西沢、狩野の三人は海中で圧倒的不利を強いられていた。水陸両用WW。地球の七割を占める海。これの攻略は急務であった為、最も初期に開発されたWWだが、今でも海中に於いては無双の性能を誇り、難攻不落と名高い、欧州最重要拠点ジブラルタルを陥落させたのは、水陸両用WWを使用した補給線の分断と後方攪乱による物が大きいという。ハル達を囲む水陸両用WWレインは当初7機。決死の攻撃で5機まで減らしたものの狩
金太郎 さん作 [472] -
殺人機4
その日の夜、あの夕方の出来事を繰り返し思い出していた。『殺さないと俺はどうなる?』悪魔は笑って言う。『死にはせん。だが、お前も他の糧になるだろう。』悪魔はその後は何も言わず、暗闇に紛れ消えていた。たかしは、悪魔が壊した壁がある部屋で寝ていた。警察や周辺住民が騒いでも良いはず。しかし人が集まる気配すらなく、ここで寝る他無かったのである。明かりが顔を照らす。顔を洗い、歯をみがく。食パンにパッとジャム
シュウ さん作 [444] -
星の蒼さは 62
「アキ!どこ!?いるんでしょ!?」整備員たちがドックで待機している為、誰もいない格納庫で美樹の声は響いた。「アキ……どこ……?」次第に心細くなってきた。誰もいない格納庫は一人でいるには広すぎる。物陰も多く、薄暗い。もう引き上げようか。避難区画にいるに違いない。勝手に判断して回れ右をする。と、かすかな物音に身体が強ばる。この静かな世界に何がいる。唸り声のような、あえぎ声のような。ただミサイルの影に
金太郎 さん作 [477] -
星の蒼さは 61
「どうにもならないわ。成田基地に援軍を要請しましょう」覆しがたい圧倒的物量差に加え、この濃霧。既に戦いの趨勢は決していた。時代遅れのソナーでは魚雷を撃ち込める程の正確な位置を把握できない。成田基地からの援軍を頼む他なかった。爆撃機の存在だけで大局は変わる。「成田基地に入電!」「やってますが、繋がりません!」オペレーターの一人が悲鳴を上げる。「通信妨害や故障の類ではなく、通信システム自体が変更さ
金太郎 さん作 [453] -
航宙機動部隊前史後編
第一次恒星間大戦初期に置いて、ギャームリーグ機動部隊が人類史上最強の軍事力を誇っていたのは紛れもない事実ではあった。だが、研ぎ澄まされた精密機械である分却って、少なからぬ弱点を抱えていたのも否定出来ない。取り分け短期決戦に特化したその体系は、一端その利点が失われる状況に晒されると、すぐさま隠れていた構造的脆さが露呈する危険を常に内含していたのだ。この時代、特に外征を目的とした機動部隊には、必ず産
まっかつ さん作 [644] -
航宙機動部隊前史・50
一種の戦勝中毒にかかっていた前線指揮官・例え荒っぽかろうと宇宙文明に外科手術の大鉈を振るってしまえと沸騰する宙際世論・それを煽る各勢力内ネット・時流に乗り遅れまいとする新興企業群・一早い平和の訪れよりも栄達のチャンスを求める若手政治家や投機業者・そして、歴史を動かし自己顕示欲とユートピアを同時に満たそうする衝動のまま論陣を振り回す文化人―銀河中のあらゆる利害と思惑と欲望とが複雑に絡み合っては交錯
まっかつ さん作 [605] -
航宙機動部隊前史・49
ギャームリーグ《新銀河軍事同盟》陣営の優勢は翌銀河元号一五二六年に入っても続いた。特に彼等の機動部隊が太陽系に城下の盟を誓わせた同年新年期三日(修正太陽暦一月三日)の時点で、中央域の半分に当たる・二八六の星系国家・六三000の人工植民体や船団勢力が制圧され、二七0億もの星民と、GDP全宇宙比に換算して実に二六%に匹敵する経済・生産力がギャームリーグの掌中に収められていた。作戦の九0%を達成したギ
まっかつ さん作 [552] -
星の蒼さは 60
数度目の衝撃に突き上げられ、オペレーターの美樹は宙を舞って床に落ちた。「あ痛ッたた……んもうっ!アキはどこに行ったのよぉ」艦長にアキを連れてくるよう命令され、急いで行った自室はカラだった。「美樹ちゃんかい!?」「おばちゃん!」廊下を食堂のおばちゃんが駆けてくる。「アキは!?」「あたしも捜してるんだ。アキちゃんったら、いきなり『何か来る』とか言ってどっか行っちゃったんだよ。洗い物の手伝いしてくれ
金太郎 さん作 [507] -
航宙機動部隊前史・48
開戦劈頭の一年間、ギャームリーグ機動部隊の挙げた戦果はそれまでの戦史の記録を事々く塗り替え、侵寇した中央域を舞台にパーフェクトゲームを演じ続けた。これに対するフリースユニオン・宇宙解放連盟側は手も足も出ないままに恐怖と混乱のどん底に叩き落とされてしまった。銀河元号一五二五年・第二期一0日(修正太陽暦四月一五日)、両軍機動部隊はワイマール恒星系付近で初めて大規模に激突したが、その結果はギャームリー
まっかつ さん作 [510] -
星の蒼さは 59
「クク…合衆国海軍に嗅ぎつけられては厄介。素早く沈黙せしめ、奪取する。…クク…行け」三隻のハイドン級巡洋艦がそれぞれ一本ずつ魚雷を放つ。沈めてしまうのは簡単だが、それでは頼まれていた兵器の奪還が不可能になり、何より敵が全員死んでしまう。おまけにその兵器というのは……「殺すのは可愛がってからだ…クク」傍らの士官が獣を見るような目で見ている。何を考えているのかわかったのだろう。それでいい。私の趣味な
金太郎 さん作 [448]