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your彼氏。

[330]  Natu  2006-12-01投稿
零。   はじまり   






かすかに開いた窓から入る風は心地よく、またその間から差し込む光は本当に暖かくて。
日向ぼっこには最適の季節だった。


明日は入学式。
きちんとハンガーに掛けられている制服を目にすると、だんだんと実感してくる。

緊張するな…もぅ高校だよ。
そんな事を思いながら、ベットに見をまかせて携帯を手にする。


早撃ちで打つメールの内容は、高校の話しで持ち切りだった。


『明日は、いよいよ入学式だね。』


この一言から始まった友達とのメールは、もぅ二時間近く続いている。
お互い送信して、一分以内に返事が返ってくる。

メールとは便利なものだ。
そう思いながら、メールを送信すると今度は三十秒辺りで返ってきた。


『高校いったら、ウチは彼氏ほしい!衿は?』


メールの内容に苦笑しながらも、やはり早撃ちでメールを返す。


『まだ、忘れられない奴いるから。』


送信後、切ない表情でため息を深くつく。
メールはしばらく返ってこなかった。
部屋は静かで、そばにある目覚まし時計の音がきちんと針の音を響かせていた。


「・・・会いたいよ」


そんな気持ちと裏腹に、携帯が音楽を響かせた。
慌てて携帯を開くと、メ―ルの内容を確認する。



『やっぱり、まだ好きなんだ?』



このメールに返信はしなかった。
アイツと別れて、もぅ二年か…
短い間だったけど、あんなに夢中になった奴はあんただけだった。


会いたくて仕方ないのに。



早く忘れたい。
明日は待ちにまった高校生活。
たっぷりエンジョイしてやるんだから。

良い人いるといいけど・・・



そのまま電気を消し、ゆっくりと目を閉じた。
まぶたの間にかすかにあふれかけた涙を感じた。



next.








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