航宙機動部隊22
統合宇宙軍が、現在動員可能な総艦艇数は、廃艦寸前のまでかき集めて、一八000行かない。そして、これとほぼ同数の各種航宙艇《スペースクラフト》が、大型艦を中心に搭載されており、正規兵員は、合計三五00万強。この内、艦艇乗組員は、一000万に満たない。 広大な宙域を守らねばならず、しかも、その過半が征服地だ。 武力、と言うより剥き出しの暴力で、屈服させているに過ぎない星々に、忠誠や信頼を望める分けがない。 寧ろ、星系合衆国始め、外部勢力の介入を、首を長くして待ち望んでいる位だ。 彼等の繰り出す、宣伝・懐柔・攪乱工作を警戒しなければならない。 今、エタン達が膝下に組み伏せているシルミウム星系を含めて。 ここに集結した、艦船一三000隻、兵員五七0万人が、大本営スタッフ達が、反対する各軍管区サイドと、殴り合いまでして揃えた虎の子であり、全域の支配を保持しつつ、一ヶ所に投入出来る、ぎりぎりを追求した陣容なのだ。 しかもこの内、大小艦船約五00・兵員凡そ五0万から成る、大本営隷下第一0一独立特務航宙団《スペシャルフォース・指揮官ムーラート宙将》は、本隊出動後、シルミウムに駐留して、押さえとなる必要と予定があった。 これに対して、星系合衆国・連合艦隊《ユナイティドシステムズ・グランドフリート》の基幹戦力は、二0000から成る、戦闘艦船群。航宙艇の搭載比率は、統合宇宙軍とほぼ同じと推定され、その専属将兵は、凡そ三五0万人。 艦艇数では倍近く、しかもその陣容は、まるで銀河中央域・巨大軍需資本の一大博覧会だ。 帝国の財政では、とても支えれない、莫大な富と知識を湯水の如く費やして、隅から隅まで、最新鋭のみで固めている。 この点、両陣営の技術面・思想面の格差は、軽く二星紀以上の開きがあった。 特に、戦闘の底支えとなるべき、兵站《ロジスティックス》面全般に置いては、決定的な違いがあった。 その証拠に、星系合衆国軍では、帝国とほぼ同規模の船が半分以下の乗員で充分な程、進んだ運用体系をもっている。 裏を返せば、統合宇宙軍が危険な作業を中心に、それだけ人力に頼らなければならないのが実情だった。
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