漂流教室 〜5月 若葉雨〜
俺はお前のことが少し憎い。
何の努力もなく彼女の心のほとんどを独占していること。
何より彼女を置いて行ったこと――
5月 若葉雨
ヤツを沢口に紹介されたとき、俺はこの前彼女から感じとった違和感、音の変化をすべて理解してしまった。
「やっと連れて来れたで!こいつ、田村裕治。」
「桜田拓也です。よろしく。」
「…ども。てかまだ一緒にやるって決めたわけちゃうから。」
なるほど、気難しいってゆうか高飛車そうだ。組める人がいないのもうなずける。
「っもう!まだそんなこと言っとんの!?」
「うっせ。付いてくるだけで言いっつったべ。」
憎まれ口を叩きあう。でもそれは何故か逆に…
(…そっか。゙大切な人゙なんだ…。)
ただの口喧嘩なのに2人がお互いを大切に思い合っていることはすぐに察せられた。
何故か胸が痛む。
(付き合ってんのかな…。沢口に彼氏おるとか聞いたことないけど。)
「どんな曲やっとんの?」
「trash!好きやろ?」
「じゃボーカルは桜田のほうか。」
trashは沢口にすすめられて俺もハマった。こてこてのパンクで沢口のイメージとは違ってたから始めは驚いたけどこれも納得が行った。
彼が好きだから沢口も好きだったんだ。
これ以上考えたら彼女のすべてが彼に繋がっていそうで嫌だった。
怖かった。
でも考えてしまう。彼女の行動・言葉・表情の一つ一つを。
それから後のことはよく覚えていない。とりあえず田村のドラムはめちゃくちゃ上手かったし沢口との息もぴったりで俺一人が浮いていた。
「タク、今日どしたん?何か変やったで?」
「…なんでもないよ。ちょっと寝不足かも。」
心配してくれる彼女に微かに笑いかける。
どうしてこんなに苦しいんだろう。
何でこんなに嫌なんだろう。
「そう…?そんならいいけど。あ、あたしバイトやわ!早く行かな!
じゃあね!」
彼女が手を振って走っていった。
俺とヤツが2人で取り残された。
「桜田、…お前さあ。」
田村が口を開く。
「アイツのこと好きなん?」
もやもやがすべてふっとんだ。
何だ。
俺、アイツのこと好きなんだ…。
でも…。
芽生えたばかりの気持ちを雨がうつ。
何の努力もなく彼女の心のほとんどを独占していること。
何より彼女を置いて行ったこと――
5月 若葉雨
ヤツを沢口に紹介されたとき、俺はこの前彼女から感じとった違和感、音の変化をすべて理解してしまった。
「やっと連れて来れたで!こいつ、田村裕治。」
「桜田拓也です。よろしく。」
「…ども。てかまだ一緒にやるって決めたわけちゃうから。」
なるほど、気難しいってゆうか高飛車そうだ。組める人がいないのもうなずける。
「っもう!まだそんなこと言っとんの!?」
「うっせ。付いてくるだけで言いっつったべ。」
憎まれ口を叩きあう。でもそれは何故か逆に…
(…そっか。゙大切な人゙なんだ…。)
ただの口喧嘩なのに2人がお互いを大切に思い合っていることはすぐに察せられた。
何故か胸が痛む。
(付き合ってんのかな…。沢口に彼氏おるとか聞いたことないけど。)
「どんな曲やっとんの?」
「trash!好きやろ?」
「じゃボーカルは桜田のほうか。」
trashは沢口にすすめられて俺もハマった。こてこてのパンクで沢口のイメージとは違ってたから始めは驚いたけどこれも納得が行った。
彼が好きだから沢口も好きだったんだ。
これ以上考えたら彼女のすべてが彼に繋がっていそうで嫌だった。
怖かった。
でも考えてしまう。彼女の行動・言葉・表情の一つ一つを。
それから後のことはよく覚えていない。とりあえず田村のドラムはめちゃくちゃ上手かったし沢口との息もぴったりで俺一人が浮いていた。
「タク、今日どしたん?何か変やったで?」
「…なんでもないよ。ちょっと寝不足かも。」
心配してくれる彼女に微かに笑いかける。
どうしてこんなに苦しいんだろう。
何でこんなに嫌なんだろう。
「そう…?そんならいいけど。あ、あたしバイトやわ!早く行かな!
じゃあね!」
彼女が手を振って走っていった。
俺とヤツが2人で取り残された。
「桜田、…お前さあ。」
田村が口を開く。
「アイツのこと好きなん?」
もやもやがすべてふっとんだ。
何だ。
俺、アイツのこと好きなんだ…。
でも…。
芽生えたばかりの気持ちを雨がうつ。
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