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Traitor 4

[433]  2006-01-13投稿

カフェは、リファとホセ二人だけになった。
二人は、同じテーブルに向かい合わせに座っていた。
「何しに来たんだ、ホセ。」
「知ってるでしょう。いや、その前に。」
ホセは立って、
「お久しぶりです、リファさん。」
深々と礼をした。
リファは少しいつもとは違う調子で
「やめろよ、ホセ。僕は、もう、あの研究所とは、何も、関係ない。」
一言一言をはっきり言った。言い切った。
ホセは向き直ってから、
「いいえ、そんなことは、ありません。あなたは、生きている限り、研究所から、切り離せない人間・なのですから。」
一言一言をはっきり言った。言い切った。
しばらくの沈黙、そして――――
「とりあえず、座ってよ。君はもう、僕の使用人じゃないんだから。」
リファがいつもの調子で言った。
「・・・それも、言えてるな。」
ホセが最初の調子で言った。

二人は、暫くの間この町の話をしていた。
リファの住むこの町は、田舎でもなく、だからといって都会なのかといわれればそうでもない。
そんな町。
しかし、数年前に山の中に秘湯が発見されてから、一躍大人気の観光地となった。
しかし、秘湯があるのを知っているのは極僅かで、大人気といってもまだまだな状況である。
秘湯の事をリファが知らなかった理由も、それだ。
「・・・ホセ、そろそろ本題いけば?」
リファが唐突に言った。
「やっぱり見抜かれてたな。」
ホセが少し笑って、リファが当たり前だと言った。


その頃、ロイドとアヤメは静かに本を読んでいた。
静かすぎて、リファとホセの会話が少し聞こえた。
「ねぇ、ロイド。」
「何?」
アヤメが小声でロイドに尋ねた。
「あの二人は、もとから知り合いだったの?」
「知らねぇよ・・・さっきまでは普通の話してたけどな。」
「よっぽど何かあるんだわ。」
「何でだよ?」
「だって、最初会ったとき、『頼みごと』って言ってよく分からない感じにしてたし・・・それに、『君がリファ君かい?』みたいなこといってたじゃない?」
「あ〜・・・そういえば。女の勘は鋭いっつーから、本当かもな。」
「でしょ?」
それからまた、本を黙々と読み始めた。



続く

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