携帯小説!(PC版)

トップページ >> ファンタジー >> フェニックス 13

フェニックス 13

[386]  導夢  2006-12-05投稿
斬り飛ばされた腕が、赤い血を撒き散らしながら宙を舞う。
「もうちょっと鍛えた方がいいんじゃないか?」
と、ゼノス。
「調子に乗るなよ。人間が!」
開いた口から鋭く長い牙の様な歯が見える。
ヴァンパイアと呼ばれる種族だ。闇夜の魔人とも呼ばれ、空間を操る能力を持ち、肉体は限り無く不死に近く、寿命は数百年から数千年と言われている。

ヴァロールは無造作に殴りかかるがそれはゼノスが後ろに跳んで躱される。
ヴァロールは手の平を前に突き出し、中央に何かの力が集中していくのが感じる。
危険を感じたゼノスはさらに距離をとろうとするが、
「醜く潰れてしまえ!」
間に合わないか?
集中していた力が開放されるその時、
「ヴァロール、今そんな強大な力を使ったらあなたも無事じゃすまないわよ。ここは退きなさい」
ヴァロールの隣りの空間が歪み、一人の女性のヴァンパイアが現れる。冷ややかな瞳、鮮やかな長く赤い髪に病的なまでに白い肌。
「邪魔をするな!ネヴィン」
ネヴィンと呼ばれたヴァンパイアはヴァロールの方を向き、
「退きなさい、といった筈よ。もう、この地に用はないわ」
ネヴィンの瞳がヴァロールを捉え、艶のある唇が動く。
「チッ、」
ヴァロールは舌打ちをしながらも、手を下ろすと収束していた力が霧散した。それを見たゼノスは
「なんだ、終わりか?そっちが終わりでも俺には関係ないことだがな!」
大地を蹴り、ヴァロールとネヴィンに接近する。
「あなたの相手をしている暇はないの」
腕を軽く振り上げると、空を切り裂く不可視の刃がゼノスを襲う。風切り音でそれを察知したゼノスは大きく横に避ける。
その隙に
「帰るわよ」
消え去るネヴィン。続いて、
「この借りは必ず返すぞ。覚えておけ、我が名はヴァロール。魔眼のヴァロールだ!」
そう言い残し、歪んだ空間に飲み込まれる。
「逃げたか…」
そして、何度か咳き込みガハッと血を吐く。ヴァロールの一撃で内蔵をやられていたようだ。
「大丈夫、ゼノス?」
駆け寄って来るセフィ。なかなか馬車に戻ってこないゼノスを心配してセフィが様子を見にきたようだ。
「あぁ、なんとかな。」
肩を借りずに馬車まで戻ったのはゼノスの意地か…
護衛の傭兵は全滅してしまったが、ジャスレフまではあと少しだ。

感想

感想はありません。

「 導夢 」の携帯小説

ファンタジーの新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス