過去の楽譜
いつの頃からだったかな。人と一緒にいることが苦痛になってしまったのは。
友人と一緒にいても心ここにあらずという感じで,一人で居る時より,そんな時は孤独を感じた。
「ごめん。帰るよ」
「博人帰っちゃうの」と猫撫で声で僕を引き止めるのは同じクラスの女子だった。
「ごめん。ちょっと用事があるんだ」僕はそう言って教室を出た。
大学進学も決まって僕の友人は殆どが高校卒業を待つばかりだった。とは言っても僕たちは大学の付属高校で上の大学にエスカレーターというのが殆どで大学入試も推薦だから楽なものだった。
その分,こうして暇を持て余し授業もないというのに教室でだべっているというわけだ。
僕はその空気が嫌いだった。
帰りの電車の中で,僕はぼんやりと窓の外をみつめていた。
本当はさ,僕だって人と一緒に笑いたいと思っている。でも誰でもいいわけじゃないんだ。
過去の記憶が心を痺れさせて,一瞬,眩暈を感じるほど強く過去へと連れ戻す。
「空美…」
「博人…あたしの心臓さ…もうダメなんだって」病院のベットで力なく言う。僕の前で微笑みをくれるが,空美は受け入れているようだった。
でも,僕にはそれが受け入れられなかった。
「そんなことないだろ。嘘だろ」
「博人…そんな顔しないで。昔から知ってたじゃない。あたしの心臓のこと…」
「ピアノはどうするだよ。コンクールは…」
その後からは涙が溢れて言葉が言葉にならなかった。
「ねえ。博人…キスして欲しい。最後のあたしのお願い。あたしたち付き合ってたよね。あたし達ピアノばかりだったから恋人らしいこと何も出来なかったから…最後に。」
僕は夢中でキスした。もう頭の中が真っ白で…
我に気付くと涙が溢れていた。電車に乗っている他の学校の高校生が,おかしな物でも見るような目で僕を見ていた。僕は慌てて涙を拭いて,次の駅で下車した。
そして楽譜を買いに行った。空美の命日が近づいていた。空美がコンクールで弾けなかった曲を弾こうと思った。
空美へ
もう少し一人でいるけど孤独に潰されそうな時,空美を思い出すかもしれないけど,それくらいは許して。
友人と一緒にいても心ここにあらずという感じで,一人で居る時より,そんな時は孤独を感じた。
「ごめん。帰るよ」
「博人帰っちゃうの」と猫撫で声で僕を引き止めるのは同じクラスの女子だった。
「ごめん。ちょっと用事があるんだ」僕はそう言って教室を出た。
大学進学も決まって僕の友人は殆どが高校卒業を待つばかりだった。とは言っても僕たちは大学の付属高校で上の大学にエスカレーターというのが殆どで大学入試も推薦だから楽なものだった。
その分,こうして暇を持て余し授業もないというのに教室でだべっているというわけだ。
僕はその空気が嫌いだった。
帰りの電車の中で,僕はぼんやりと窓の外をみつめていた。
本当はさ,僕だって人と一緒に笑いたいと思っている。でも誰でもいいわけじゃないんだ。
過去の記憶が心を痺れさせて,一瞬,眩暈を感じるほど強く過去へと連れ戻す。
「空美…」
「博人…あたしの心臓さ…もうダメなんだって」病院のベットで力なく言う。僕の前で微笑みをくれるが,空美は受け入れているようだった。
でも,僕にはそれが受け入れられなかった。
「そんなことないだろ。嘘だろ」
「博人…そんな顔しないで。昔から知ってたじゃない。あたしの心臓のこと…」
「ピアノはどうするだよ。コンクールは…」
その後からは涙が溢れて言葉が言葉にならなかった。
「ねえ。博人…キスして欲しい。最後のあたしのお願い。あたしたち付き合ってたよね。あたし達ピアノばかりだったから恋人らしいこと何も出来なかったから…最後に。」
僕は夢中でキスした。もう頭の中が真っ白で…
我に気付くと涙が溢れていた。電車に乗っている他の学校の高校生が,おかしな物でも見るような目で僕を見ていた。僕は慌てて涙を拭いて,次の駅で下車した。
そして楽譜を買いに行った。空美の命日が近づいていた。空美がコンクールで弾けなかった曲を弾こうと思った。
空美へ
もう少し一人でいるけど孤独に潰されそうな時,空美を思い出すかもしれないけど,それくらいは許して。
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