Jumpin' Five 31
「新人の3人も、こうして出てきているんだよ。」
岩田さんは、畑中さんに静かな口調で話していた。畑中さんは何も言わず、ただ岩田さんの顔を見るだけであった。岩田さんは進一さんの方を見た。
「進一くん、ありがとう。…話した?」
「いえ。詳しくは。」
「そうか。あ、座って。3人も、こっちへ入ってきて。」
進一さんと私たち3人は、テーブルを囲むように座った。
「畑中くんが、オレのところへやめたいって言ってきたんだ。代表の沢井くんが今日はいないもんで、オレと進一くんのところへ話してきたんだけど…。どう思うかな?」
岩田さんは、我々3人に意見を求めてきた。答えに困る。しかも、いきなりこのバンドをやめたいという申し出。3人ともしばらくは黙ったままだった。
「困る。やめられたら。アンサンブルは5人でやるって決めて、練習を進めてる。」
最初に富山くんが口を開いた。相変わらず、生意気にもタメ口。
「仕方ないと思うよ。事情があるんだもの。私も12月までしかできないの。でも、アンサンブルはエキストラとして出るって約束したの。それで、こうして練習にも来てるの。」
美加が続けて言った。2人が続けて意見を述べたのに、私は考えがまとまっていなかった。でも、何か言わないと…。
「あのー、何故そう決心したかっというのは、私よくわからないんですが…。この曲『Jumpin' Five』って岩田さんが探してくれた曲、実は前にもやったことがあるんです。高校のときに、夏に車山高原で合宿をやったんですけど、そのときのパート発表会でこの曲やったんです。」
「車山高原?」
畑中さんは初めて口を開いた。私は…なんでこんな話をしているんだろう。どうでもいいことじゃないか。でも、続きを話した。
「はい。1つ上の先輩がこの曲を持ってきてくれて…すごく懐かしかったです。この間合わせたとき。長く楽器をやっていると、そういうことがあるんだなって思えて…。同じ曲に2度出会えるってこと。長くやってなかったら、なかなかないですよね、こんなこと。」
畑中さんはうなずいて聞いてくれていた。私は心のどこかで、続けてほしいと願っていた。美加のようにトラでもいいけど、長く続けることに価値がある、そう言いたかった。
岩田さんは、畑中さんに静かな口調で話していた。畑中さんは何も言わず、ただ岩田さんの顔を見るだけであった。岩田さんは進一さんの方を見た。
「進一くん、ありがとう。…話した?」
「いえ。詳しくは。」
「そうか。あ、座って。3人も、こっちへ入ってきて。」
進一さんと私たち3人は、テーブルを囲むように座った。
「畑中くんが、オレのところへやめたいって言ってきたんだ。代表の沢井くんが今日はいないもんで、オレと進一くんのところへ話してきたんだけど…。どう思うかな?」
岩田さんは、我々3人に意見を求めてきた。答えに困る。しかも、いきなりこのバンドをやめたいという申し出。3人ともしばらくは黙ったままだった。
「困る。やめられたら。アンサンブルは5人でやるって決めて、練習を進めてる。」
最初に富山くんが口を開いた。相変わらず、生意気にもタメ口。
「仕方ないと思うよ。事情があるんだもの。私も12月までしかできないの。でも、アンサンブルはエキストラとして出るって約束したの。それで、こうして練習にも来てるの。」
美加が続けて言った。2人が続けて意見を述べたのに、私は考えがまとまっていなかった。でも、何か言わないと…。
「あのー、何故そう決心したかっというのは、私よくわからないんですが…。この曲『Jumpin' Five』って岩田さんが探してくれた曲、実は前にもやったことがあるんです。高校のときに、夏に車山高原で合宿をやったんですけど、そのときのパート発表会でこの曲やったんです。」
「車山高原?」
畑中さんは初めて口を開いた。私は…なんでこんな話をしているんだろう。どうでもいいことじゃないか。でも、続きを話した。
「はい。1つ上の先輩がこの曲を持ってきてくれて…すごく懐かしかったです。この間合わせたとき。長く楽器をやっていると、そういうことがあるんだなって思えて…。同じ曲に2度出会えるってこと。長くやってなかったら、なかなかないですよね、こんなこと。」
畑中さんはうなずいて聞いてくれていた。私は心のどこかで、続けてほしいと願っていた。美加のようにトラでもいいけど、長く続けることに価値がある、そう言いたかった。
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