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死のじゃんけん

[1171]  チャッキー  2006-12-07投稿
目の前には黒い扉がある。向こう側には俺とじゃんけんをする相手がいる。
お互い『じゃんけんぽんっ』という掛け声で扉が上に開かれ、持っている武器で勝敗が決まる。                 グーが鉄球、チョキが巨大ハサミ、パーが毒が染み込んだ布きれ。

負ければ鉄球で殴り殺されるか、巨大ハサミで刺し殺されるか、毒が染み込んだ布きれを被され毒殺される。あいこなら二人ともしぬ。
相手も人間。俺も人間。
これほど何を出すか迷うじゃんけんは他にないだろう。 じゃんけんというゲームは心理戦。普通に考えれば布きれを顔に被せるのがまだ気が楽だろう…。


ではパーか?
いや、相手も同じ事考えてるなら俺はチョキか?

刺し殺したくない…、血は見たくない。
でも死にたくない…。

相手はパーを出すとは限らない。俺がパーを出すと読んで相手はチョキなら…、俺はグーか。
殴り殺したくない。でも死にたくない。

こんな恐怖感と緊張感がまざりあった、じゃんけんは嫌だ。究極の三択だ。

何を出せばいいのか分からなくなった。

よしっ、パーだ!!これで行こう。余計な事は考えるな。俺は目をつぶり、震える手で布きれを持った。

『じゃんけんぽんっ』

扉が開く音がした。

俺はまだ目を開けていない。

『……、ん、妙に静かだ…、勝ったのか??』  




グサッ 完

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