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消えない過去 2

[736]  ニャオ  2006-12-08投稿
結局、新宿が一番自宅から交通の便がいいことから、バイト探しは新宿に絞ることにした。何かあってもアパートに歩いて帰れなくは無い距離だった。
新宿にはあの「歌舞伎町」がある。
田舎にいた頃、テレビで見た歌舞伎町は、怖い、危険なイメージしかなかった。
この頃の歌舞伎町は、縄張りも安定しない、やくざの抗争が絶えない町だ。
毎日のように拳銃の音が聞こえている。
子供の頃、海岸で防波堤にかんしゃく玉をぶつけて遊んでいたのを思い出す。
この危険な町には違法な仕事もたくさんあった。
田舎者の俺に思いつくのは喫茶店でボーイのバイトくらいである。毎日毎日、客は途切れることを知らないかの様にひっきりなしにやってくる。
一体どこからこんなに人が集まってくるのだろうと思う。
寝る時間を削って足を棒のようにして働いて、結局・・・学校と店とアパートを往復するだけの生活。
それでも、休みの日を楽しく過ごすのにお金は全然足りなかった。
現実は厳しい。
良い想いをしたければ、東京では仕事を選んでいる場合ではないと悟っていた。
稼がないと東京ではいい生活も遊びもできないのだ。
「金さえあれば・・・」楽しく暮らせる。
でもまさか・・・。
まさかこの俺が。
あの歌舞伎町で「ホスト」として生きて行く事になるとは夢にも思っていなかった。
「ホスト」になるまでの話をしよう。

初めてのバイトは新宿の喫茶店でウェイターをやった。
今までのバイトとは勝手が違うので、緊張したし実感が持てなかったのを覚えている。

その店で一人の若い女と知り合った。
名前は美紀という。
彼女は沖縄から16歳で高校を中退して一人で上京し、色んな店でウエイトレスをしてきたらしい。
美紀は俺にはないはっきりとした目鼻立ちで、外人のようなエキゾチックな顔をしていた。
スタイルもトランジスターグラマー・・いわゆる小さく華奢な体なのに結構巨乳だ。
俺とは全く違う系統の顔立ち、すぐに惹かれた。
がむしゃらに働く姿を見て、少しでも力になってあげたいと、そう思った。
沖縄の親には仕送り、自分も学校に行くために、夜もスナックで働いている。
朝方、仕事帰りに二人で一緒に飲みに行くようになった。
続く

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