風
だが柚木の生い立ちは柚木が産まれた頃すでに両親はおらず、祖父母が柚木を育ててくれたので貧しさゆえに柚木は高校にも行かず働いても今の旦那と結婚したわけだからとても帰る場所などなかった。いつも葛藤していた いつかツネもちゃんとしてくれる。でもいつになるかわからないなら子供達を連れて出て行こうか…。苦悩の毎日だった。ゆっくり考えている時間など柚木にはなかったから。ツネの実家は四国の松山にあり昔からの地主で土地は沢山ある農家の息子だった姉と兄がいてツネは末っこだからわがままに育てられた。両親は高校の教師で、姉は小学校の教師、兄は公務員である。ツネは美容師になりたくて上京し、腕はそこそこのものだがあきっぽく向上心が無いためいつまでも店も持てずに雇われ店長をやっている。そんな姿勢にも柚木はツネに対する愛情が薄れていた。子供たちは家から少し離れた小学校へ通い、二人でいつも仲良く帰り父親と母親が帰る迄お留守番をけなげにしていた。長女のマイが妹のかすみをよく面倒見るので寂しくても何とかお留守番が出来た。近所の人も柚木の人柄の良さに協力をしてくれていたがツネは無愛想な為あまり評判は良くなかった。
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