携帯小説!(PC版)

[315]  ゆっきー  2006-12-09投稿
慎は「会社の経費だからいらないよ」と言って柚木の手を引っ込めさせた。ヒロは「そーだよ、いらねーよ、コイツ超金持ちだから俺達貧乏人とは感覚が違うんだよ」と笑って言った。お金持ちと聞いて柚木の胸はちくっと痛んだ。(そっか…住む世界が違うんだ、なのに私ったら無理してこんな所来てなにやってんだろ)そう考えたら急に子供達の顔が浮かんできて足取りが重たくなった。その頃会社の事務員達が綺麗に着飾り、三人で慎とヒロの側にやって来た。一人は高橋貴子28歳で独身、もう一人は小林淳子30歳でバツイチ、三人目の田中由美子27歳家庭ありの既婚者はいつも男性達がいる場所には必ず出席する仲良しグループだった。この日の為に新調したと思われる服を三人とも着飾り、服だけが浮いてさえ見えた高橋貴子は早速慎に話しかけた。「お疲れ様でーす。スピーチナイスでしたよ。思わず惚れちゃいました」ペラペラと話しまくる貴子に慎は苦笑いしながら「俺に惚れるとはまりますよ」と、ふざけてみせた。ヒロもすかさず「こいつ以外と垂らしだから気を付けた方がいーっすよ、食うの早いからね」と相槌を打ち、周りは笑いながらテンションが高くなっていく。柚木は作り笑いをした。

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