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Jumpin' Five 38

[337]  曽根菜由美  2006-12-11投稿
そんなに長い距離ではないので、すぐ怪しい文化会館に着いた。もう何人かの人が、ジャージに運動靴という格好で、歩く練習を始めていた。晩秋とはいえ、動くと体がほてる。それくらい、マーチングは限りなくスポーツに近い。いい秋晴れで、日が高くなってくれば汗ばんでもくる。私も美加のーも楽器の積み下ろしを終えて、歩きの練習に入った。ドリルパターンのプリントが配られ、個人練習に入る。トリックターンなどは、4人集まっての練習をする。
 11時半から、全体のドリル練習という指示があった。
 さきほど述べたように、日が高くなってくれば汗ばんでくる。そんな重労働に、緊張感が加わる。メンバー一人一人の基礎緑はまちまちだが、全員がひたむきに努力していた。私ももちろんその一人で、美加と最強コンビを組んで、富山くんを引っ張っていこうとしていた。そんな彼も真剣だ。
 自分の体がどうにかなってしまうのもわからないくらい、真剣であった。
「もぉ、やり直し。1で回るんだよ。2まで数えたら遅いの。」
美加のきつい言葉に、富山くんはしょげていた。私は、そんな彼の顔すらも良く見えなくなっていた。
「え?でも、オレ、今1で回ってたよ。」
あれ?しょげてない。食ってかかってるぞ。でも、私は、そんな2人のやりとりから遠のいていく気分だった。となりには岩田さんもいた。
「理解力の問題だよな。」
岩田さんは私にこう言ってきた。そんな岩田さんの言葉に返答する余裕もなく、私は、ふぅと大きくため息をついた。
「大丈夫か?顔色よくねーぞ。」
「すみません。気分悪くて…。」
「そうだろう。休んでろよ。」
岩田さんにそう言われて、私はドリルの外へ出た。
「失礼な質問だけど、妊娠してる?」
「してません。」
「それなら良かった。」
本当に失礼な質問だ。だけど、どこかで聞いたことある。マークタイムなどの足踏みのたぐいは、妊婦には良くないのだ。
 そんな感じで、結局私は、午前中はあまり練習できずに終わってしまった。午後は楽器をつけての練習も行うらしい。早く体を治さないとまずいぞー。

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