暗闇の女?
周りの社員達の中にもその凄まじい光景に倒れる人や泣き出す社員まで出て来た。 (く…狂ってる…警察は何をしてるんだ早く…早く来てくれ…) 藤川も泣きながら祈った。 「もう、馬鹿な事は止めて!のりちゃんは関係ないでしょ!離してあげて!」順子は必死に説得していた。「ヒヒヒ…次は お前だよ、二人いつも馬鹿みたいに はしゃいでさ、ヒヒヒ…ヘドが出るよ お前の一人息子も殺るって言うのもいいかもな…ケケケ…」 順子はもう この志津恵と言う人間が正常な精神ではないと言う事が、はっきりと解った。この人には何を言っても駄目なのかも知れないと諦めにも似た思いが頭の中を駆け廻っていた。 ドカドカ――――――――――バタンッ!――――――― 「警察だ!人質を離しなさい!」おびただしい数の警官達が店長室の中に入って来た。 順子は安心したのか身体中の力が抜けて床に座り込んでしまった。《早く助けて下さい》とだけ言うと、ただ泣いているしかなかった。 「ヒヒヒ…警察だろうと何だろうと近付くと この女…殺るわよ…ヒヒヒ…ヒヒヒ…」 ガーガーッ―――! 「こちら、現場より本部へ容疑者は女一人、尚、女性一人人質に取っています。どうぞ!」 ガーガーピッ! (了解、人質の確保が第一です、慎重に容疑者の確保に努めて下さい。どうぞ!) ガーガーピッ! 「了解致しました。」警官の一人、西村拓朗には一つの考えがあった。 (目の前の『女』には 今は何を言っても聞き入れてくれるはずがない、ましてや側にある男の死体からみて異常な精神状態にある事は確かだ。ならば隙を見てこの拳銃を女に撃つのが、もっとも最良の判断ではないのか?)緊張の部屋の中で志津恵の不気味な笑い声だけが鳴り響く。
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