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愛された記憶 3

[436]  サチ  2006-12-12投稿
駆け付けた叔母達。父の姉と妹である。私は、幼い時に数回会った事しかないので、ほとんど覚えていない。でも叔母達にとっては、「こんなに大きくなっの〜」と目を丸くしていた…私は小学六年生になっており、小柄な叔母達には、とても大きく見えているようだった。意識の無い祖母の傍で、私達は懐かしい話しをしたりして、ゆっくりと時間が流れていた。叔母達は自分の母親との久しぶりの対面に、まるで空白の時間を埋めるかのように、祖母の手を摩り、頬を撫で祖母の感触を確かめていた。しばらくすると、父と下の叔母が荷物を置きに家に戻った。私と兄は気分転換に病院の中庭へ出た。おもいっきり伸びをして空気を吸った。病院内で息を潜めるよにしていたのでやんちゃな私達にとっては息が詰まりそうだったのだ。私は兄より少し早く病室へ戻った。ドアに手を延ばしかけて止めた…上の叔母が祖母に優しく話しかけるのが聞こえていた。次の瞬間叔母がとても大きな声で「お母さん、起きて〜!なんで寝てるの?お母さん、お願いだから、起きてよ〜お母さん。」と叫ぶ声が泣いていた。私は又、病室から離れることにした。その日の夜は、父が看病することになり、みんなで家に帰った。久しぶりに自宅で、ゆっくりと眠った気がする。心細いであろう父に私は何もしてあげられずに心配だったので、叔母達の存在は、どんなに心強いか、今日、熟睡出来たことで証明された。早朝の電話で起こされ、父が大至急病院へ来るように。との事だった。ドタバタ着替えて病院へ向かう。車の中では、みな体をのり出して前だけを向いていた。病室へ着くと、父がぐったりと肩を落としていた。急ぎ足で叔母が私の腕を掴む。「ほら、ばぁちゃんの手を握ってあげな!まだ温かいよ。」と言う。私は、そっと祖母の手をとった。「ばぁちゃん…」温かかった。柔らかかった。いつもと何も変わらない優しい手なのに…祖母は、とても穏やかな顔をしていた…それからは、あっという間に時間過ぎ、通夜には、祖母の姉が駆け付けた。玄関で一目見て目を疑った程、とても祖母に似た、お婆さんで、優しく私の頬を撫でてくれた。通夜の間中、一睡もせずに祖母に寄りそうように座っているお婆さんが、とても印象的だった。そこだけが違う空間のように思えた。まるで亡くなった祖母と、二人だけで会話でもしているかのような、とても穏やかな、優しい顔していたから…

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