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Jumpin' Five 43

[368]  曽根菜由美  2006-12-15投稿
「後悔するよ、きっと。」
美加は、まだ、私が断ることに懸念を抱いていた。でも、安易につきあって取り返しがつかないことになるよりはいい。
「あるいは、自分で悩んでいることを進一さんに話すのよ。」
「冷静に聞いてくれるかな?」
「誰かと違って、あの人は大人よ。」
おいっ、誰かって、美加の彼氏だかアッシーって奴のことか?
「行こう。…もう、それは菜由美ちゃんの判断だから。」
「そうだね。」
時間も迫っているので、私も美加も店を出て、練習場に向かった。
 本番の市民大音楽祭が近いせいか、出席状況はまあまあであった。進一さんも、Bachの愛器を持って、片手にはスコアとタクトを持って、ホールに入ってきた。棒振り+トロンボーン奏者?どこかで聞いたことあるな。誰だっけ?
 そんなことより、私が最高に好きになった相手に、運命の返事をしないとならない。何を言っても、緊張する。コンクールの本番よりも。
 楽器を運んでいても、セッティングしていても、音階やっているときも、そのことが気になって仕方なかった。ただ、合奏に入ったら、もう忘れてしまった。楽器を演奏し出すと、もうそっちへ集中してしまう。良い癖だ。でも、悪い癖。
「今日も裏で。」
練習後、進一さんは私にこう一言残していった。〈裏〉という言葉に、美加はひっかかりを覚えた。
「何?裏って?」
「楽器運びのときに、荷物用エレベーター使うでしょ?で、降りたところが裏口…。」
「それはわかるけど…。」
私は、周りの人に聞こえないように、美加にときどき迷っている話をした。そう、私の体調が良くないときに。そして、家までの道のりを把握して…。
「えー、そんなことがあったの。ちっとも話してくれないで…。」
美加は驚いてばかりいた。そう…私は誰にも相談しないで、一人で悩んでいたのだ。
「そういう訳だから、悪いけど、一人で帰ってくれる?」
「そう。いいもん。私だって、迎えが来るもん。」
げっっ、アッシー登場か。あの男(どの男?)は学校に泊まっている男じゃないのか?(←実は教師)

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