いとしき君へ1
俺は宮城敦フレンチレストランのイケメンで有名なソムリエだけど、恋人は表向きはいないことになっている。
あくまでも表向きはだ、実は男なのに美人顔で色白、身長160センチ小柄で華奢な体つきと繊細な性格を持つ、柳下いつき、と三年前から付き合っていて、世間様には顔向けできない関係を、穏やかなままに続けていた。
そうあの日までは、穏やかな日々だった。
一度もいつきとは不思議とケンカなどしたことがなかったし、いつきを見ているだけで俺は癒されたのだ、やつの何もかもが可愛くて、お菓子を夢中で作る真剣そのものの姿も好きでよく見つめていた。女みたいなすらりとした指先が作り出す、甘すぎないスイートなデザートはいつも店では人気だった。
あの日の前夜忘れられない、夜のディナーが長引いたため、夜中になってから、いつきは翌日に控えたパティシェのコンクールの試作品の最後の仕上げを考えていて、ほぼ寝ていなかっただろうと思う。俺は、疲れていたのか、休憩室でいつの間にか、うたた寝をしていて、そのまま夜が明けてしまっていた。
時計は朝八時をまわり、いつきに起こされて気づいた。
「あっちゃん、朝だよ、そろそろ俺は行かなくちゃいけないんだ、先にいくよ。目覚まし九時にかけたから、後できてね。」
「んっわかった、いつもサンキューな」
そう言って再び眠りに着いた。バタンッと扉を閉じる音が、かすかに聞こえた。
まさか、それが最後の会話になるとも知らずに、のんびり九時まで寝てしまっていた。
あくまでも表向きはだ、実は男なのに美人顔で色白、身長160センチ小柄で華奢な体つきと繊細な性格を持つ、柳下いつき、と三年前から付き合っていて、世間様には顔向けできない関係を、穏やかなままに続けていた。
そうあの日までは、穏やかな日々だった。
一度もいつきとは不思議とケンカなどしたことがなかったし、いつきを見ているだけで俺は癒されたのだ、やつの何もかもが可愛くて、お菓子を夢中で作る真剣そのものの姿も好きでよく見つめていた。女みたいなすらりとした指先が作り出す、甘すぎないスイートなデザートはいつも店では人気だった。
あの日の前夜忘れられない、夜のディナーが長引いたため、夜中になってから、いつきは翌日に控えたパティシェのコンクールの試作品の最後の仕上げを考えていて、ほぼ寝ていなかっただろうと思う。俺は、疲れていたのか、休憩室でいつの間にか、うたた寝をしていて、そのまま夜が明けてしまっていた。
時計は朝八時をまわり、いつきに起こされて気づいた。
「あっちゃん、朝だよ、そろそろ俺は行かなくちゃいけないんだ、先にいくよ。目覚まし九時にかけたから、後できてね。」
「んっわかった、いつもサンキューな」
そう言って再び眠りに着いた。バタンッと扉を閉じる音が、かすかに聞こえた。
まさか、それが最後の会話になるとも知らずに、のんびり九時まで寝てしまっていた。
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