万華鏡(14話)
術後4日目、瞬は医師から告知を受けた。
肺癌であること、
今後は化学療法で治療すること‥
末期で‥あることを。
美月がいなくなり、2人きりになったときに瞬は言った。
「俺、しないから。」
『え?』
「‥‥‥。
化学療法はしないから」
『‥なに言ってんだよ』
「‥‥‥」
『おい!』
「‥よく考えたよ!
‥けどさ、最期くらい自分で決めたいんだ。
まだやりたいことだって‥あるんだよ‥」
瞬は親指と人差し指で布団の裾をいじっている。
『‥‥‥』
「‥‥‥」
美月が戻ってきた。
俺達のこと何か怪しんでるようだ。
そのあとみんなで話しをしたが‥答えるのが面倒で俺はただ相槌をうっていた。
‥その2日後、俺は担当医に呼ばれた。
「今日呼んだのは‥病状のことではないんですが‥、瞬さんが少し医療費のことを心配しているようなんです。」
『えっ‥』
「前の回診のときに聞かれまして‥心配しないようにと伝えたのですが‥。
ご本人が費用のことを心配されますと、治療にも影響することがありますので、‥ご家族の方も注意してお願いします」
『‥‥わかりました。』
‥‥確かに‥うちは金の余裕はない。俺達2人を公立の高校に入れるのさえ、ギリギリだってことはお袋が言わなくてもわかる。
瞬が入院してからお袋はパートを増やして、夜もずっと仕事をしてる。
‥瞬、馬鹿だな。
おまえのこと、
18年間も一緒にいれば、分かるんだよ。
おまえが嘘つくとき、
指を動かす癖もさ‥。
治療受けたいんだろ‥
気遣ってさ‥
ばかだよ‥
ばかだよ‥‥。
肺癌であること、
今後は化学療法で治療すること‥
末期で‥あることを。
美月がいなくなり、2人きりになったときに瞬は言った。
「俺、しないから。」
『え?』
「‥‥‥。
化学療法はしないから」
『‥なに言ってんだよ』
「‥‥‥」
『おい!』
「‥よく考えたよ!
‥けどさ、最期くらい自分で決めたいんだ。
まだやりたいことだって‥あるんだよ‥」
瞬は親指と人差し指で布団の裾をいじっている。
『‥‥‥』
「‥‥‥」
美月が戻ってきた。
俺達のこと何か怪しんでるようだ。
そのあとみんなで話しをしたが‥答えるのが面倒で俺はただ相槌をうっていた。
‥その2日後、俺は担当医に呼ばれた。
「今日呼んだのは‥病状のことではないんですが‥、瞬さんが少し医療費のことを心配しているようなんです。」
『えっ‥』
「前の回診のときに聞かれまして‥心配しないようにと伝えたのですが‥。
ご本人が費用のことを心配されますと、治療にも影響することがありますので、‥ご家族の方も注意してお願いします」
『‥‥わかりました。』
‥‥確かに‥うちは金の余裕はない。俺達2人を公立の高校に入れるのさえ、ギリギリだってことはお袋が言わなくてもわかる。
瞬が入院してからお袋はパートを増やして、夜もずっと仕事をしてる。
‥瞬、馬鹿だな。
おまえのこと、
18年間も一緒にいれば、分かるんだよ。
おまえが嘘つくとき、
指を動かす癖もさ‥。
治療受けたいんだろ‥
気遣ってさ‥
ばかだよ‥
ばかだよ‥‥。
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