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航宙機動部隊33

[661]  まっかつ  2006-12-19投稿
しかし、今回は違う。
群小勢力をいじめまくっていた統合宇宙軍は、知らずとは言え遂に大蛇の尾を踏みつけてしまい、その逆襲に遭おうとしている。
帝国としては、久々に同格以上を相手とした、存亡の戦いだ。
この《スタニドルフ》もいよいよ全軍の陣頭に立って、その威容と凄まじい火力を、敵味方に披露する時が来たのだ。
そして、エタン自身に取っても、その本領と真価が試される、恐らく最初の分水嶺となるであろう。
遂に、権威や象徴では済まされない、実力勝負―それこそ本来の皇帝の役目と責任を引き受けるべき局面が訪れたのだ。
もちろん、その覚悟は出来ている。
流石は銀河屈指の機動部隊集団、と称されるだけの闘い振りを、全人類に見せ付け、中央域文明圏を震撼させてやろう―例えそれがどんな結果になっても―エタンはそう考えていた。
勿論、無責任な匹夫の勇からではない。
戦場で敗績すれば、真っ先に沈むのは、この総旗艦、そして、その中で自分が必ず死ぬのだから。
これ程分かり易い結果と責任の取り方は無いではないか。
だが―若き皇帝は、近頃悩んでいるのだ。犠牲がどれだけ出ようとも、勝てば官軍、パレオス星邦は降伏し、七0年越しの悲願、最外縁の大統一が、遂に実現するのだ。
征討軍の大打撃を受けて、中央域サイドはこの既成事実に妥協を計らざるを得ないだろう。
仮に再侵攻を企図したとしても、ダメージ回復までにかなりの時間を要する筈。
それまでにエントレンスを押さえ、国力充実を果たした帝国は、今とは逆転に近い有利な態勢で、迎え討てるだろう。
どの道自分達には、歓迎すべきシナリオが待っている。
ここまでは良い。
だが―それから先は?
統合宇宙軍は創建以来、言わば艦船・兵員を増やす資源欲しさに、戦争に明け暮れて来た様な物だ。
敵を探して制圧し、その財産を戦力整備に充て、次なる独立国を併合して、増収を図り、軍拡をする―この繰り返しだった。 そう、軍事力はパワーだ。
殊にここ最外縁では、唯一のパワーだ。
大統一完了後、その膨大な戦力が余分になる。
専守防衛に撤するならば、エントレンス175さえ、要塞化して置けば、最外縁=中央域間のヒト・モノ・カネ・情報の流れは、完璧にコントロール出来る。
最小限の兵力で、効率良く侵略を撃退するシステムが、出来てしまうのだ。

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