Jumpin' Five 53
本当に、進一さんと会ってしまった。いやー、私の行動力には驚いてしまうよ。
「僕の方からお声をかけたかったのですが、なゆちゃんの声があまりにも痛々しくて…。」
なゆちゃん、私はこう呼ばれている。私はというと、「進一さん」と以前と変わらず。男の人に「ちゃん」づけするのは、好きではない。それに、7つも年上の人に「しんちゃん」なんて呼ぶのも…。
それより、私の声はまだ風邪声。ハスキーボイスってところ。歌うと、橘いずみになる。(桂銀淑でもよい)それを心配して、進一さんは私を誘わなかったのだ。
「進一さんに謝らないといけないことがあって…。」
私はまず話を切り出した。進一さんは、謝ること?と疑問形で私の顔を見た。
「気づかれたんです。私の方から約束したのに、バンドの人に私たちの仲を知られてしまったんです。」
「え?」
「本当にごめんなさい…。大勢の人ではないんですが…。」
「気にしなくていいよ。気づかれたっていうだけだろ?誰かな?具体的には…。」
「岩田さん、です。」
「やっぱりそうか…。気にしなくてもいいからね。岩田さんなら、平気だよ。」
進一さんは心の広い人だった。私には寛容に対応してくれた。ただ心配なのは、岩田さんに迷惑がかかる。気を遣わせてしまう。
「今日は、どこへ行っても混むと思うんですが、歌いますか?」
進一さんは、私にそう声をかけてくれた。私の気持ちを悟って、カラオケに誘ってくれた進一さんの判断には、ますます感服せざるを得ない。仕事の内容が重いことも、進一さんはわかったのだろう。
案の定、混んでいたけど、少し待って、私たちは1時間ほど歌った。華原朋美の曲を歌いながら、コンクールの打ち上げのことをふと思い出した。
そういえば、あのころからだよ、私が進一さんのことを意識し始めたの・・・。
「僕の方からお声をかけたかったのですが、なゆちゃんの声があまりにも痛々しくて…。」
なゆちゃん、私はこう呼ばれている。私はというと、「進一さん」と以前と変わらず。男の人に「ちゃん」づけするのは、好きではない。それに、7つも年上の人に「しんちゃん」なんて呼ぶのも…。
それより、私の声はまだ風邪声。ハスキーボイスってところ。歌うと、橘いずみになる。(桂銀淑でもよい)それを心配して、進一さんは私を誘わなかったのだ。
「進一さんに謝らないといけないことがあって…。」
私はまず話を切り出した。進一さんは、謝ること?と疑問形で私の顔を見た。
「気づかれたんです。私の方から約束したのに、バンドの人に私たちの仲を知られてしまったんです。」
「え?」
「本当にごめんなさい…。大勢の人ではないんですが…。」
「気にしなくていいよ。気づかれたっていうだけだろ?誰かな?具体的には…。」
「岩田さん、です。」
「やっぱりそうか…。気にしなくてもいいからね。岩田さんなら、平気だよ。」
進一さんは心の広い人だった。私には寛容に対応してくれた。ただ心配なのは、岩田さんに迷惑がかかる。気を遣わせてしまう。
「今日は、どこへ行っても混むと思うんですが、歌いますか?」
進一さんは、私にそう声をかけてくれた。私の気持ちを悟って、カラオケに誘ってくれた進一さんの判断には、ますます感服せざるを得ない。仕事の内容が重いことも、進一さんはわかったのだろう。
案の定、混んでいたけど、少し待って、私たちは1時間ほど歌った。華原朋美の曲を歌いながら、コンクールの打ち上げのことをふと思い出した。
そういえば、あのころからだよ、私が進一さんのことを意識し始めたの・・・。
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