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君に送る言葉?

[520]  深山暁  2006-12-30投稿
あんな事があった後でも、僕はこうして教壇に立っている。
生徒もいつもどおり。聞いていたりいなかったり。
少なくとも、生徒に気付かれない程度には、僕は、平静でいるらしい。
一通り説明を終えてから、ノートをとらせる。
この方が、生徒が起きている確率が高い。と、最近始めたやり方だ。
その時、ふと視線を感じた。
一人の生徒が、僕の顔をじっと見ている。
浅岡 美奈子
特に問題がある訳でもない、普通の生徒だ。いや、むしろ善良な生徒だろう。
話す時に決してそらさない瞳が印象に残っていた。
しかし、今は話もしていないのに、僕の目を見つめてそらさない。
吸い込まれそうな、透き通った瞳だった。
「どうした?質問か?」
強い視線に耐えられなかった。
声をかけると、強かった視線がやわらかく揺いだ。
「何でもありません。」
高校生らしい爽やかな笑顔だった。
―放課後―\r
会議もないので、家に帰ってもいいのだが、誰も待っていない家に帰る気がしなかった。
特にやる事もなく、タバコに火をつける。
一応ここは、社会科教員の部屋なのだが、職員室からも教室からも離れているせいか、生徒はもちろん、他の社会科教員さえめったに来ない。 だから、校内で堂々と喫煙できる貴重な場所だった。
ため息と共に煙を吐き出すと、授業中には感じなかった喪失感が襲ってきた。
今朝、沢子に言われた言葉が繰り返される。
「引き止めてもくれないのね。」
「あなたに愛されてる気がしない。」
「あなたは何に対しても冷めている。」
僕は、沢子を愛していなかった?
だとしたら、この喪失感は何だ?
僕は、冷めてなんかない…。
不覚にも、涙が出そうになってしまった。
カッコわるい…。
―コンコン!
ノックの音が聞こえた。
珍しい。と思った後、タバコをくわえている事を思い出した。
「やべっ!」
慌てて灰皿に押しつける。
「どうぞ!」
入って来たのは、浅岡だった。

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