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君とあたしと誰かの絆

[961]  餅ねこ  2005-08-23投稿
町は異様ににぎわっていた。今日は年に一度の収穫祭。町中の店という店は今がかきいれどきと躍起になっている。そんな町の様子をティナはただじっと二階の自分の部屋から眺めていた。行きたくないわけでは無いのだが、どうしても行く気になれなかった。その理由はティナの父のことだった。ティナの父、アレックスは一年前にとある事件を起こし、刑務所に入っている。その事でティナは学校に行っていても常にいじめの対象だった。呼び出しをくらって指定された場所に行ってみると、十人程の先輩や同級生に周りを囲まれ、「人殺しっ!」などと言われ、更にはどつかれたり、校庭の木にしばりつるされた事もあった。しかし、ティナはその事を母に言ったことは一度もなかった。ただでさえ、自分を養わせるために必死なのに、これ以上心配や苦労をかけさせたくなかったからだ。ティナの体には痣が耐えなかった。母に「どうしたの?」ときかれてもころんだ、などと嘘をついてごまかしていた。今町に出かけたら、目をつけられるに違いない。危険は最大限に避けたかった。

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