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じじぃ、、 〔七歳〕

[824]  ホッチ  2007-01-06投稿
幾度となく見つめようと、その前で体を動かそうと、私が映ることはなかった、、。

既に私は存在していないのか、、しかし、ものに触れ飲食もできる。

こんな退化した脳では結論を導くことも出来ず、深くは考えないことにした。

ただこのまま消えてしまうのもシャクと思い、黄ばんだ便箋に筆をはしらせることにした、、。

『我永きに渡り生を授かり、幾多の困難、、同等の幸。
振り返れば良き想い出として日々過ごす。

死期近しと感じ、今我の存在をここに記す。

昨今、良く浮かぶモノ。

妻に感謝。
息子に陳謝。
少年に些かの不安、、。

我いなくなりソファーの少年を目にするものがいるならば、どうか末永く見守ることを願う。

死後の世でまた息子と逢えるならば、今度は良き父として接っそう。

来世でも妻と夫婦でありたい。

これらを願い、筆を置くこととする、、。

2006 12月 30日 』


、、書き終え回りを見渡す。
クモのいぬ巣をみつけ、死んだ後の我が家と照らし合わせた、、。

そんな気は知る義もなく、少年はソファーで眠りについている。

起こさぬよう毛布をかけ、同じ場にあるアルバムを開くことにした、、。

若かりし日の二人、旅行に出向いたときだったか。
幸せを噛み締める、、。

ページをめくると、産まれたばかりの息子が写っている。
このときが一番可愛かったと、知らず知らず微笑む自分を感じた、、。

更に一枚、、息子の運動会。
かけっこで一等になったときであろう、恥ずかしながらもピースをしている。

ふと、あることに気付く、、。

ソファーをみる。
少年は相変わらず眠る。

写真をみる。
息子が微笑んでいる。

二人同じ顔をしている、、。

血の気が曳くのを感じながらも、少年から目をはなすことが出来ぬ自分がいた、、。

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