恋をして
私の好きな人に彼女ができた。
恋の辛さを知った19の冬。
世の中は私の気持ちに関係なく、いつもの様に、穏やかに流れている。
最初に陽太と関係を持ったのは、まだ暑さの残る九月中旬。この時すでに私は陽太が好きだった。しかし当時の関係を崩したくなく、その想いを告げること出来はなかった。陽太はあの時私が自分に好意を持っていることに気付いていた。しかし、陽太もまた関係を崩したくなく気付かない振りをした。私は怖くて告げれなかった臆病者、陽太は自分の利を考え告げれなかった卑怯者。私の気持ちを隠した共犯者である。
その後は一度犯してしまった過ちの中の快楽に身をゆだねるだけ。狡さを覚えた私と陽太は身体だけの関係が続いた。
しかし、身体を重ねるたび気持ちが深まってしまう私は幾度も別れを考えた。本気じゃない別れを告げる私。陽太はそれを見透かし追わない、離れられない私に時折優しい言葉をかけるだけ。いつかその言葉が本当になるのではないかと、その言葉に縋り、信じた振りをする私。…堕落する日々。陽太の事だけを考え、想い、生きる日々。そんな生活に苦しいながら、甘えていた。
ある日陽太に好きな人がいると気付いた。そして私を抱いている時、陽太が彼女を想って抱いていたことにも…。陽太にとって私は彼女が現れるまでは確かに一番近い存在だった。私は陽太の一番近い存在じゃなくとも、陽太が彼女を想って抱こうとも、それでもいいと思った。いや、思った振りをして、陽太から離れなかった。陽太もまた、その気持ちに気付いたまま、私が側にいる事を許した。
そして、間もなく陽太は彼女に告白をし、付き合いだした。
私の心は泣いた。陽太と関係を持ち、初めて心が泣いた。涙を流したことは幾度かあったが「心が泣いた」こう表現するのが一番正しい状態に初めてなった。陽太に大好きだったと伝えれなかった自分に腹が立ち、伝えてあげれなかった気持ちにあやまり、こうして人は大人になるんだなと冷静に自分の気持ちを見ていた。
冬が好き。寒さを理由に甘えられるから。でも甘えられる人がいない冬は、寒くて寒くて心が折れそう。
折れないように、そっと、ゆっくり、世の中の穏やかな雰囲気に身をゆだね傷を癒そう。
そして、新たに恋をする。
恋の辛さを知った19の冬。
世の中は私の気持ちに関係なく、いつもの様に、穏やかに流れている。
最初に陽太と関係を持ったのは、まだ暑さの残る九月中旬。この時すでに私は陽太が好きだった。しかし当時の関係を崩したくなく、その想いを告げること出来はなかった。陽太はあの時私が自分に好意を持っていることに気付いていた。しかし、陽太もまた関係を崩したくなく気付かない振りをした。私は怖くて告げれなかった臆病者、陽太は自分の利を考え告げれなかった卑怯者。私の気持ちを隠した共犯者である。
その後は一度犯してしまった過ちの中の快楽に身をゆだねるだけ。狡さを覚えた私と陽太は身体だけの関係が続いた。
しかし、身体を重ねるたび気持ちが深まってしまう私は幾度も別れを考えた。本気じゃない別れを告げる私。陽太はそれを見透かし追わない、離れられない私に時折優しい言葉をかけるだけ。いつかその言葉が本当になるのではないかと、その言葉に縋り、信じた振りをする私。…堕落する日々。陽太の事だけを考え、想い、生きる日々。そんな生活に苦しいながら、甘えていた。
ある日陽太に好きな人がいると気付いた。そして私を抱いている時、陽太が彼女を想って抱いていたことにも…。陽太にとって私は彼女が現れるまでは確かに一番近い存在だった。私は陽太の一番近い存在じゃなくとも、陽太が彼女を想って抱こうとも、それでもいいと思った。いや、思った振りをして、陽太から離れなかった。陽太もまた、その気持ちに気付いたまま、私が側にいる事を許した。
そして、間もなく陽太は彼女に告白をし、付き合いだした。
私の心は泣いた。陽太と関係を持ち、初めて心が泣いた。涙を流したことは幾度かあったが「心が泣いた」こう表現するのが一番正しい状態に初めてなった。陽太に大好きだったと伝えれなかった自分に腹が立ち、伝えてあげれなかった気持ちにあやまり、こうして人は大人になるんだなと冷静に自分の気持ちを見ていた。
冬が好き。寒さを理由に甘えられるから。でも甘えられる人がいない冬は、寒くて寒くて心が折れそう。
折れないように、そっと、ゆっくり、世の中の穏やかな雰囲気に身をゆだね傷を癒そう。
そして、新たに恋をする。
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