平安☆美人の法則!!23
帝が、灯りの届かない漆黒の闇に向かって話しかけると、闇の中で僅かに何かが動く気配がし、次の瞬間には、さっきの黒装束の女性が音も立てずに、宗劉の後方に控えていました。
帝は突然現れたその女性の顔を認めると、「月乃…!?月乃ではないか!なぜそなたがここに…!それにその身のこなし…そなた一体何者だ!?明らかに女官の身のこなしではない!そうか…兄上のおっしゃられた味方とは…そなたのことか!?」と驚きのあまり、目を丸くして叫びました。
月乃は宗劉の後方に控えたまま、帝の問いには一言も答えず、沈黙を守っています。
その直後、宗劉が抑揚のない静かな声で、「聞け、劉嘉。月乃…そう堅くならずともよい。」と言い、その言葉に対して何かを言いかけた帝を目線で制すと、再び話を始めました。
「よいか、劉嘉よ。この月乃は代々、双龍華を持つ者にしか仕えぬ暗殺者を輩してきた一族の長だ。だからお前ではなく私に忠誠を誓った。あぁ…お前も私が追放された後、双龍華の短刀を賜ったのだろうが、今私が言っているのはその双龍華とは違う。お前も知っているだろう?この場合の双龍華とは──…」とまで言うと、おもむろに着物の上半身を脱ぎ、帝に背中が見えるように向き直って、「…この痣印のことだ。天皇家において何代かに一人、王たる素質のある者に現れるとされる、双龍華の痣…。だから月乃は私を選んだのだ。しかしそれ以前に…お前は余りにも凡庸過ぎた。王たる素質がないのだ。」と言い放ちました。
するとそれを聞いた帝は、「では…私は帝の器ではないと…そう言いたいのですか!?双龍華の痣印を体に持たないから…だから私は王たる素質がないと…!そういうことなのですか!?」と叫び、宗劉と月乃を睨みつけたのです。
その言葉を聞いた宗劉は、浅く溜め息をつき、こう言いました。
「…いかに双龍華の痣を持つ者でも、時には国を傾けるほどの昏君となることもある。そう…賢君と昏君は紙一重なのだ。そんなときは痣印があろうとなかろうと、彼女の一族は忠誠を誓いはしない。…それと同じことだ。解ったならしばし言を慎め、劉嘉。…話が逸れてしまったから本題に戻そう。」
そして宗劉は、唇を噛んでうつむいた帝を尻目に、着物を元通りに着ると伊織姫の方を向き、姫の目を真っ直ぐに見つめたのでした…。
帝は突然現れたその女性の顔を認めると、「月乃…!?月乃ではないか!なぜそなたがここに…!それにその身のこなし…そなた一体何者だ!?明らかに女官の身のこなしではない!そうか…兄上のおっしゃられた味方とは…そなたのことか!?」と驚きのあまり、目を丸くして叫びました。
月乃は宗劉の後方に控えたまま、帝の問いには一言も答えず、沈黙を守っています。
その直後、宗劉が抑揚のない静かな声で、「聞け、劉嘉。月乃…そう堅くならずともよい。」と言い、その言葉に対して何かを言いかけた帝を目線で制すと、再び話を始めました。
「よいか、劉嘉よ。この月乃は代々、双龍華を持つ者にしか仕えぬ暗殺者を輩してきた一族の長だ。だからお前ではなく私に忠誠を誓った。あぁ…お前も私が追放された後、双龍華の短刀を賜ったのだろうが、今私が言っているのはその双龍華とは違う。お前も知っているだろう?この場合の双龍華とは──…」とまで言うと、おもむろに着物の上半身を脱ぎ、帝に背中が見えるように向き直って、「…この痣印のことだ。天皇家において何代かに一人、王たる素質のある者に現れるとされる、双龍華の痣…。だから月乃は私を選んだのだ。しかしそれ以前に…お前は余りにも凡庸過ぎた。王たる素質がないのだ。」と言い放ちました。
するとそれを聞いた帝は、「では…私は帝の器ではないと…そう言いたいのですか!?双龍華の痣印を体に持たないから…だから私は王たる素質がないと…!そういうことなのですか!?」と叫び、宗劉と月乃を睨みつけたのです。
その言葉を聞いた宗劉は、浅く溜め息をつき、こう言いました。
「…いかに双龍華の痣を持つ者でも、時には国を傾けるほどの昏君となることもある。そう…賢君と昏君は紙一重なのだ。そんなときは痣印があろうとなかろうと、彼女の一族は忠誠を誓いはしない。…それと同じことだ。解ったならしばし言を慎め、劉嘉。…話が逸れてしまったから本題に戻そう。」
そして宗劉は、唇を噛んでうつむいた帝を尻目に、着物を元通りに着ると伊織姫の方を向き、姫の目を真っ直ぐに見つめたのでした…。
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