Traitor 5
リファとホセは、暫く黙ったままだった。
カフェは何の音もしなくて、時間だけが刻々と過ぎた。
「・・・リファ君、博士が動き出した。」
リファが少し目を見開いた。
それから、ホセに続けるよう言った。
「――――『リヴァ』が完成したんだ。」
「『リヴァ』が・・っ!?そんなはずは無いだろう!設計図は燃やしたんだ!」
ガタンッッ!!
椅子が派手な音をたてて倒れた。
「リファ君、落ち着いてくださ・・・やはり、敬語のほうが言い易いですよ。」
「・・・じゃあ、続けてよ。」
「はい。その前に、椅子を。」
「うん。分かってるよ・・・自分で直すからいいよ。続けて。」
ホセが椅子を直そうとして、リファがそれを止めた。話を続けるよう言った。
「それでは話を。『リヴァ』が何故完成したのかは、僕にも分かりません。何故なら、博士はずっと研究室に篭っていて、誰も寄せ付けなかったからです。博士に呼ばれて研究室に行くと、『リヴァ』は完成していました。」
「何時完成したの?そして、どうして君は僕のところへ来たの?」
リファの質問にホセが答える。
「はい。完成したのは、一ヶ月前です。僕がここへ来たのは、リファさん―――あなたを、呼びに着たからです。」
「どういうことよっっ!!!!」
リファとホセが振り返ると、そこにはアヤメとロイドがいた。
「ずっと隣の部屋で聞いてたわ!リファ、説明してよ・・・っ!」
「アヤメ、落ち着けって・・・。」
ロイドが宥めようとした。
「ロイドォっっ!忘れたの!?」
アヤメが涙目で、ロイドに言う。
「『リヴァ』は・・・そいつは!私と!あなたの!親を殺した!!張本人じゃない・・・っっ!!!」
「・・・だけど、」
ロイドが言いかけて、アヤメが遮った。
「リファをそんなところには、行かせられない・・・そこに、どんな理由があっても、よ。ホセさん、どういうことなのよォ・・っ!!」
ホセは、一度リファを見た。
リファは、小さく頷いた。
「分かりました。」
ホセが言った。
「全てを説明しましょう。」
続く
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