フェニックス 16
夜が明け、太陽が姿を現し多くの生物が活動を開始する。
「ゼノス。それ…何?」
セティの細い指が指しているのはゼノスの両手いっぱいにぶら下がっている荷物。
「それと、その二人は?女の子の方は見覚えがあるんだけど…」
そのまま指が上がり、ゼノスの右に移動する。
陸送艦が入艦するステーションの改札前で待ち合わせをしていたゼノスとセティだったが、予想外の出来ごとに不思議そうな顔をしたセティが質問を投げ掛けた。
「何も聞くな…」
げんなりした様子のゼノスが答える。
一歩前に進み出た、手ぶらのアスマナが、
「馬車の中でお会いしましたね。アスマナと申します。よろしくお願いします」
ペコリと、お辞儀をする。
「あ、あの時の…よろしく、アスマナちゃん。セティって読んでね」
続いて、同じく手ぶらのジフが口を開く。
「ジフといいます。あと、アスマナ様は19歳ですので」
「えっ!」
ゼノスとセティ、二人揃って驚きの声を上げる。見た目の容姿から、もっと幼いと思っていたのだろう。
「失礼なことを言ってしまったわね。ごめんなさい」
セティが謝るが、
「構いませんよ。女性にとって若く見られるのは喜ばしいことです」
若く見られすぎだと思うが。
「あ、あらそう。ならよかったわ。じゃあ自己紹介が終わったところで、行きましょうか」
ズレた答えに困惑しながらもセティは先を促し、一行は改札を通り抜ける。
通路をしばらく歩き、開けた場所で目に飛び込んできたのは、朝日を浴び黒光りする圧倒的な質量を誇る鉄の塊。それは大きな機械の作動音を出しながら悠然と構えていた。
乗降口から中に入ったところで、荷物をクルーに預ける。
「ゼノスは向こう側ね」
セティが示した方角はセティやアスマナ、ジフ達とは逆だった。
陸送艦には値段によって特等、一等、二等と座席が分かれている。ゼノスが言われたのは二等席だった。
「じゃ、オリュンポスに着いたらまた会いましょ」
それだけ告げると、セティはさっさと特等席の方へと姿を消して行く。
「それでは、また後で」
セティの後を追う様にして去って行くアスマナ。ジフは無言だ。
何も言えぬまに一人残され、仕方なく歩きだしたゼノス。少し歩くとドアが見えてくる。そのドアを開けるとそこはいたって普通の二等席。
「俺は女難の相でもあるのか?」
「ゼノス。それ…何?」
セティの細い指が指しているのはゼノスの両手いっぱいにぶら下がっている荷物。
「それと、その二人は?女の子の方は見覚えがあるんだけど…」
そのまま指が上がり、ゼノスの右に移動する。
陸送艦が入艦するステーションの改札前で待ち合わせをしていたゼノスとセティだったが、予想外の出来ごとに不思議そうな顔をしたセティが質問を投げ掛けた。
「何も聞くな…」
げんなりした様子のゼノスが答える。
一歩前に進み出た、手ぶらのアスマナが、
「馬車の中でお会いしましたね。アスマナと申します。よろしくお願いします」
ペコリと、お辞儀をする。
「あ、あの時の…よろしく、アスマナちゃん。セティって読んでね」
続いて、同じく手ぶらのジフが口を開く。
「ジフといいます。あと、アスマナ様は19歳ですので」
「えっ!」
ゼノスとセティ、二人揃って驚きの声を上げる。見た目の容姿から、もっと幼いと思っていたのだろう。
「失礼なことを言ってしまったわね。ごめんなさい」
セティが謝るが、
「構いませんよ。女性にとって若く見られるのは喜ばしいことです」
若く見られすぎだと思うが。
「あ、あらそう。ならよかったわ。じゃあ自己紹介が終わったところで、行きましょうか」
ズレた答えに困惑しながらもセティは先を促し、一行は改札を通り抜ける。
通路をしばらく歩き、開けた場所で目に飛び込んできたのは、朝日を浴び黒光りする圧倒的な質量を誇る鉄の塊。それは大きな機械の作動音を出しながら悠然と構えていた。
乗降口から中に入ったところで、荷物をクルーに預ける。
「ゼノスは向こう側ね」
セティが示した方角はセティやアスマナ、ジフ達とは逆だった。
陸送艦には値段によって特等、一等、二等と座席が分かれている。ゼノスが言われたのは二等席だった。
「じゃ、オリュンポスに着いたらまた会いましょ」
それだけ告げると、セティはさっさと特等席の方へと姿を消して行く。
「それでは、また後で」
セティの後を追う様にして去って行くアスマナ。ジフは無言だ。
何も言えぬまに一人残され、仕方なく歩きだしたゼノス。少し歩くとドアが見えてくる。そのドアを開けるとそこはいたって普通の二等席。
「俺は女難の相でもあるのか?」
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