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ナイト・オン・ドラグーン【48】話『獄炎の塔。』

[368]  Milk  2007-01-17投稿
張り詰めた空気がアインをそして、
獄炎の守護者、スウェンを包んだ。
互いの武器を手で確かめ、相手の出方を伺うように二人の動きが止まる。
『ふんっ!』
スウェンは自分の炎の槍を突き出す。

『こんなものっ!!』
アインはとっさに刃ではない柄らしきところを掴んだ。が、
『あっつ!?』
当然ながらも炎を掴んでしまった。
手の平が焼けてヒリヒリする。
『いやっだから…炎の槍だって言っただろ?』
スウェンは笑いながら肩を竦める。
『う、うるさいっ!』
剣を振り上げる。
リオが泣く姿なんて見たくなかった。
ただ、こんなにもたやすくリオを悲しませるスウェンが許せなかった。

スウェンが踏み込んでくる。
燃え盛る槍を剣で受け止める。
重い。
そして近付くほど焼けるように熱い。
今までに戦ったどの相手よりも強い力を感じる。
弾き飛ばそうとしても、押し戻すのがやっとだ。剣と槍が幾度もぶつかり、火花が散り、甲高い音をたてる。

(まるで隙がない!)
アインの中で焦りが生じる。リーチからだろう、アインの防線範囲を軽々と突破してくる。
近付くことさえ困難を極めた。
『兄さんっ!やめてぇ!』
後方でリオが叫んだ。涙を流しながら。

スウェンの動きが一瞬止まった。
無影に突き出される槍の猛攻が止まる。
それを見逃すアインではなかった。
右寄りから、スウェンにとっての左側から突っ込んだ。斜めに剣を振り上げた。
剣を握る手に鈍い衝撃を感じた。
剣ではないものを捉えた感触。
確かに手応えがあった。崩れ落ちるようにスウェンは膝をついた。
『兄さんっ…』リオの悲痛な叫びが聞こえた
(やったか?)
肩で息をしながらアインはスウェンを見下ろした。
と、スウェンが不意に顔を上げた。
『思いあがるなよ!アイン君!!』
鋭い光を帯びた目がアインを射抜く。
炎熱の槍が迫ってくる。

避けきれない。
(ダメだ。殺される……!)
身を固くした瞬間、リオが両手を広げてアインの前に立ちはだかった。

スウェンの槍がリオを貫く。

『リオ!?』
アインはただ立ちすくんだ。『なっ…!?』
スウェンの顔にもまた驚愕と戸惑いが浮かんでいた。
槍が抜かれる。
リオの口元から血が蔦っていた。
『…もういいでし…ょ?兄さ…ん』

感想

  • 6179: 悲しい…切ないデス [2011-01-16]

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