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紺碧の塔5

[647]  ニワトリ仙人  2007-01-17投稿
剛留は走った。
顔を見られるのが、無償に嫌だった。
(麻美が何でこんなところにっ……!)
「待ってェ!お兄ちゃぁん!!」
かなり後方から、どうやら追い掛けてきているのだろう、麻美の声が聞こえる。
しかし、所詮高校生と小学校低学年の足だ。すぐに離されていく。公園から数百メートル離れた商店街に逃げ込んだ。麻美の姿は見えなくなっていた。
同時に、何とも耐えがたい寂しさと切なさに襲われた。妹から逃げている自分が酷く滑稽に見えた。
「…」
酒屋の前に出されている木箱に腰掛け、溜め息をついた。
高校に入ってから、何も楽しいことがない。成績優秀、真面目、美男子、運動神経抜群、…どれを取っても人より優れている。みな人が欲しがる才能ばかり。
だがこんなもの、正直いらない。あってもうざったいだけだ。
「中学の頃は楽しかったな…」
ふと、そんな言葉が頭をよぎった。
中学の頃の剛留…毎日喧嘩に明け暮れ、その変わりあんまり勝てず、ボロボロになって帰る毎日。お洒落とは無縁で、年中坊主頭。いつも身体中傷だらけで、不細工な仲間と付き合い続けていた。女とはフラれたり、片想いだったりの関係でお洒落以上に無縁だった。
勉強は努力家のほうで、喧嘩

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