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異界の住人(改題)?

[566]  朝倉令  2007-01-19投稿


「幻界…幻の国って事?」

「いや、手っ取り早く言えば、我々〈四神〉のような連中の本拠地だな」


(四神って、…?)



首を傾げた私に、男は、四神に関してレクチャーしてくれた。



「東西南北の各方位を護る守護神の話は、聞いたことあるかな?Cカップちゃん」


「あたし、…島崎愛です。さっき口走った事、わ、忘れて貰えます…?」



改めて男性の口から言われると『恥かしさ1000倍』な気分…。



「そう?じゃあ、愛ちゃんね。  まだ顔赤いぞ。
 ところで…
何で君の犬が急に大人しくなったか分かる?」


「あ、…そう言えば
フレディは?」

「いやぁ〜、気の毒に。僕の本体見ちまってさあ。
もう番犬は出来そうにないなぁ、あれだと」


「本体?」

「ああ。 
〈白虎〉と睨めっこしたら確実に心が壊れるよ」



自らを白虎と呼ぶ男が指差す先に、耳を垂れ、尻尾を股の間に巻き込んで失禁しながらプルプル震えている、ジャーマンシェパードの姿があった。


一体、何を見てこれ程怯えているのやら、…皆目見当がつかない。



「方位ごとに、東は青竜、西は白虎、南は朱雀、北は玄武って具合に護り神が決まってるんだ。
僕はまぁ、差し当たって西の…」



説明のさなか、一陣の涼風が吹き抜け、白虎の胸元をチラリとかいま見せた。



「ひいいイイイィィッッ!!」

「あれま、…君も見ちまったか、……やれやれ」



白虎の道服の合間から見えたものは、…鼻面にシワを寄せ、獰猛に牙を剥き出した肉食獣の首……。



私は白虎の声を遥か遠くに聞きながら、意識をフェイドアウトさせていった。




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