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ナイト・オン・ドラグーン【49】話『ありがとう…』

[246]  Milk  2007-01-19投稿
リオは崩れ落ちるように倒れた。
『リオーっ!』
すぐさま駆け付け、リオを抱き起こす。
リオの腹からおびただしい血が拡がっていた。
アインはリオの傷口を手で抑えたが、手の間を流れていくだけだった。
『リオっ…なんで君が…』
虚ろな瞳を天井に向けたままリオは荒く息をしていた。
『くそっ!血が止まらない』
アインは止血の処置を頭の中で巡らせたが、どんな怪我も一日立てば癒えてしまう自分には、そのような知識はまったくもって無知だった。
咄嗟に自分の衣類を破った。それをリオの傷口に巻いた。が、
『…ア、インさんっ…あたし…あなた達と一緒にいれてたのし…かった。』
途切れ途切れに震える声でリオはアインを見つめる。
リオの顔色が青白くなっていることにアインは気付いた。
『ばかやろう…なんで、俺を庇った?』
アインはリオの手を取った。
しかし、彼女の手は氷のように冷たい。
リオに巻いた布キレもあっという間に血で染まってしまった。
『アインさ…んを死なせたくっなかったか…ら』そう言っている間にも赤い染みはどんどん広がっていく。『あたしはっ…スウェン兄さんを…救いたかった。』
『しゃべっちゃダメだ。傷が開く』

『もっと…アインさん達と一緒にいたかった。一緒に笑って、一緒に泣いて…それから…それから』

『リオっ!わかったから、もうしゃべらないでくれ!!』
たまらず叫ぶ。
アインにはわかっていた、リオは致命傷を受けた。もう助からない。
頭でわかっていても、認めたくなかった。
そんな現実を必死で拒んだ。
『それから…最後にもう一度…だけ。』
そう言ってリオはアインに顔を近づけた。
おそらく、リオにはなにも見えてないだろう。
吸い寄せられるように…

唇を交わした。

ありがとう、とリオが微笑んだ。
そして、アインの腕の中で永遠の眠りについた。

『リオ?…リオっ!!』
アインの中で何かが爆ぜ、感情を狂わせた。
両頬に熱いものが流れていた。
涙。
心臓が胸を食い破りそうなほど激しく脈打っている。
苦しい。
『…よくもっ…よくもリオを殺ったな!?』
ダメだ…
感情をコントロールできない。
まただ…
ジークの腕を斬り落とし時のあの力。
アインの体は蒼い光を帯びていた。
『あんたを殺す…!』

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