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noir cafe vol.3

[375]  小椋都  2007-01-22投稿
『27歳、長い恋のはじまりはここからだった』


私もジュンも山のように買い物をして、ジュンの車に積んだ。今日の収穫は何と言ってもピンクのニットキャップ。私もジュンも仕事以外ではジーパンに古着のシャツとかジャージにスニーカーといったような、ストリートカジュアル的な服装が多い。今日の私はワンピースにカーディガンとブーツ。ジュンはジーパンとトレンチ風ジャケットにパンプスといつもよりはカチッとしている。今日はオープンしたばかりのお店へ行っても浮くことはないだろう。
車の中でジャズを聞きながら私たちは繁華街へ向かった。
ジュンは大手の結婚式場やレストラン、料亭などに出入りしているため、飲食店の知り合いが自然と増えるのだ。今日行くタイ料理のお店もジュンが出入りしているレストランのチェーンなのだそうだ。
「みや、ここだよ。」
さすが有名飲食店経営会社。オシャレな外装と雰囲気。お香のかおりがフワッと漂うエントランス。でもそのかおりはすぐに消えて、料理のかおりの邪魔はしない。音楽はかかっておらず、静かに料理を楽しめそうだ。
奥の席へ案内されると場違いな団体客がいる。
「こんばんは〜。遅くなりました〜。」
ジュンがそのうるさい団体客にあいさつした。まさかこの人たちだとは思わず、私は驚いた。私は奥の席を勧められジュンは私の斜め向かいに座った。
「みや、真樹くん。」
私の真向かいにいるこの人。時々ジュンが話す人。私はしばらくこの人から目が離せなかった。

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