ナイト・オン・ドラグーン【52】話『遺言、次への道程』
今まで通ってきた通路を疾走と駆ける。
時折、足元が大きく揺らいだ。
獄炎の塔が崩れかけている。
本来ならば、リオと一緒に脱出する道程。
(…リオ。)
最後の一本通路を全速で駆けた。
外に出たと、瞬時に獄炎の塔は崩壊した。
至る所で外壁が落ちている。
アインが出た場所はちょうど獄炎の塔の正門だった。
しかし、今や正門があった。というだけだ。
あちらこちら、崩壊し、地面は掘り返した跡があるような凹みが多々ある。
そして散らばるかのように敵兵の骸が転がっていた。
(…派手にやったんだな)
アインはレグナとマナの姿を捜す。
上空で鳴き声が聞こえた。
翼を羽ばたかせ、降下してくる。
『どうやら成功したようだな、小僧』
そう言ってレグナはアインの前に降り立った。
その背からマナが飛び降りる。
『…大丈夫ですか?アイン』
マナの赤い瞳をアインは反らした。
『アイン?』
意味深気にマナは問い詰めてくる。
異変に気付いたのはレグナが先だった。
『そういえば、あの怪力娘がおらぬな…』
レグナが辺りを見渡す。
『リオは…もういない…』
言葉が詰まりそうだった。胸の奥が苦しくて、アインは歯を食いしばる。
マナとレグナの視線を感じる。
そう、とマナが小さく呟いた。
『背の荷が軽くなったのは喜ばしいが、戦力は大きく削がれたな』
そう言ってレグナは翼を畳んだ。
『それでも、俺は戦い続けるよ。リオの死を無駄にしたくない』
言葉にすると、不思議と力が湧いた。
決意がより確かな形に変わるのを感じた。
『ならば、伝えよう。先ほど”声”を拾った』
アインとマナは首を傾げる。
『声?』
『まぁ…人の”思念”のようなものだ』
『誰のですか?』
と、マナ。
『…怪力娘かもしれんな』
『なんて言ってた?』
『錆の町へ向かえ、だそうだ。ご丁寧に場所まで告げてきた』
どうする?と言いたげにレグナがアインを見つめてくる。
アインはうなずいた。
『行こう。』
レグナの背に飛び乗り、マナに手を差し出した。
マナはそれを受け取り、登る。
(見ていてくれ、リオ。)
心の中でそう告げた。
暗闇の空にはもう朝日が昇り掛けていた…
時折、足元が大きく揺らいだ。
獄炎の塔が崩れかけている。
本来ならば、リオと一緒に脱出する道程。
(…リオ。)
最後の一本通路を全速で駆けた。
外に出たと、瞬時に獄炎の塔は崩壊した。
至る所で外壁が落ちている。
アインが出た場所はちょうど獄炎の塔の正門だった。
しかし、今や正門があった。というだけだ。
あちらこちら、崩壊し、地面は掘り返した跡があるような凹みが多々ある。
そして散らばるかのように敵兵の骸が転がっていた。
(…派手にやったんだな)
アインはレグナとマナの姿を捜す。
上空で鳴き声が聞こえた。
翼を羽ばたかせ、降下してくる。
『どうやら成功したようだな、小僧』
そう言ってレグナはアインの前に降り立った。
その背からマナが飛び降りる。
『…大丈夫ですか?アイン』
マナの赤い瞳をアインは反らした。
『アイン?』
意味深気にマナは問い詰めてくる。
異変に気付いたのはレグナが先だった。
『そういえば、あの怪力娘がおらぬな…』
レグナが辺りを見渡す。
『リオは…もういない…』
言葉が詰まりそうだった。胸の奥が苦しくて、アインは歯を食いしばる。
マナとレグナの視線を感じる。
そう、とマナが小さく呟いた。
『背の荷が軽くなったのは喜ばしいが、戦力は大きく削がれたな』
そう言ってレグナは翼を畳んだ。
『それでも、俺は戦い続けるよ。リオの死を無駄にしたくない』
言葉にすると、不思議と力が湧いた。
決意がより確かな形に変わるのを感じた。
『ならば、伝えよう。先ほど”声”を拾った』
アインとマナは首を傾げる。
『声?』
『まぁ…人の”思念”のようなものだ』
『誰のですか?』
と、マナ。
『…怪力娘かもしれんな』
『なんて言ってた?』
『錆の町へ向かえ、だそうだ。ご丁寧に場所まで告げてきた』
どうする?と言いたげにレグナがアインを見つめてくる。
アインはうなずいた。
『行こう。』
レグナの背に飛び乗り、マナに手を差し出した。
マナはそれを受け取り、登る。
(見ていてくれ、リオ。)
心の中でそう告げた。
暗闇の空にはもう朝日が昇り掛けていた…
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