携帯小説!(PC版)

トップページ >> ファンタジー >> ナイト・オン・ドラグーン【52】話『遺言、次への道程』

ナイト・オン・ドラグーン【52】話『遺言、次への道程』

[279]  Milk  2007-01-22投稿
今まで通ってきた通路を疾走と駆ける。
時折、足元が大きく揺らいだ。
獄炎の塔が崩れかけている。
本来ならば、リオと一緒に脱出する道程。
(…リオ。)

最後の一本通路を全速で駆けた。
外に出たと、瞬時に獄炎の塔は崩壊した。
至る所で外壁が落ちている。
アインが出た場所はちょうど獄炎の塔の正門だった。

しかし、今や正門があった。というだけだ。
あちらこちら、崩壊し、地面は掘り返した跡があるような凹みが多々ある。
そして散らばるかのように敵兵の骸が転がっていた。
(…派手にやったんだな)
アインはレグナとマナの姿を捜す。
上空で鳴き声が聞こえた。
翼を羽ばたかせ、降下してくる。
『どうやら成功したようだな、小僧』
そう言ってレグナはアインの前に降り立った。
その背からマナが飛び降りる。
『…大丈夫ですか?アイン』
マナの赤い瞳をアインは反らした。
『アイン?』
意味深気にマナは問い詰めてくる。

異変に気付いたのはレグナが先だった。

『そういえば、あの怪力娘がおらぬな…』

レグナが辺りを見渡す。

『リオは…もういない…』
言葉が詰まりそうだった。胸の奥が苦しくて、アインは歯を食いしばる。
マナとレグナの視線を感じる。
そう、とマナが小さく呟いた。
『背の荷が軽くなったのは喜ばしいが、戦力は大きく削がれたな』
そう言ってレグナは翼を畳んだ。
『それでも、俺は戦い続けるよ。リオの死を無駄にしたくない』
言葉にすると、不思議と力が湧いた。
決意がより確かな形に変わるのを感じた。
『ならば、伝えよう。先ほど”声”を拾った』

アインとマナは首を傾げる。
『声?』

『まぁ…人の”思念”のようなものだ』

『誰のですか?』
と、マナ。
『…怪力娘かもしれんな』

『なんて言ってた?』

『錆の町へ向かえ、だそうだ。ご丁寧に場所まで告げてきた』
どうする?と言いたげにレグナがアインを見つめてくる。
アインはうなずいた。

『行こう。』

レグナの背に飛び乗り、マナに手を差し出した。
マナはそれを受け取り、登る。
(見ていてくれ、リオ。)
心の中でそう告げた。

暗闇の空にはもう朝日が昇り掛けていた…

感想

感想はありません。

「 Milk 」の携帯小説

ファンタジーの新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス