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noir cafe vol.4

[368]  小椋都  2007-01-24投稿
『27歳、目の前に座る男が気になって仕方がない』


黒いアジア調のテーブルの上には豪華なタイ料理が並んでいる。香辛料の香りと湯気が食欲をそそる。
「お二人の飲み物来たから乾杯しようか。」
真樹くんの掛け声にみんながグラスを持つ。すでにフラフラな人もいる。
「かんぱーい!」
私とジュンはビールをゴクリと飲んだ。休日の一杯はたまらなくおいしく感じる。料理を食べながら周りを見ると、オープンしたばかりなのかほぼ貸し切りの状態。女は私とジュンだけで、あとは学生っぽいのもいればサラリーマンらしき人もいればと、何の集まりかは全くわからない。
「みなさん、どういった関係ですか?」
隣に座っているヒゲ面の30代半ばくらいの人に私はたずねた。
「“noir cafe”って知ってる?」
「聞いたことありますよ。」
「壁が真っ黒で中はろうそくしか灯りがないカフェバーなんだけど。」
「ああ!」
思い出した。確かこのタイ料理専門店と経営が一緒だったはずだ。ものすごく暗い店内で有名なバーだ。
「そこの僕は常連というか、まぁよく行くんです。彼がそこの店長さん。」
その右手の先はワインを飲む真樹くんだった。私の真向かいに座り、器用に料理を取り分けたり、ワインを人に注いだりと、気配りしているように見える。そして誰よりもテーブルマナーが完璧。私はますますこの人から目が離せなくなった。

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