街が夕日に照らされ古風な旧文明の街がオレンジ色に染まる頃、綾香はゲンから解放され、ピンクのタングトップに白い短パン姿で用意された部屋でテレビを見ていた。右手にはタバコ、左手でちゃぶ台にほお杖をついていた。綾香は独り言をぶつくさと言っていた。
綾香「くそ〜、あのジジイマジ腹立つワァ！『お金を忘れたから代わりに立てかえてくれ！』って、まじでないわぁ。」
これが泊めて貰っている者の態度かどうかはさて起き…こんな調子でしばらく独り言をつづけていると…
コンコン…。
木目調のドアを何者かが叩く音が聞こえた。
綾香は慌てて手元にあったアルミ製の灰皿でタバコの火を消した。
綾香「…あっ。どうぞ！」
するとゆっくりとドアが開き、龍雅がゆっくりと部屋に入って来た。
龍雅は微笑を浮かべながらこう言った。
龍雅「さっきは大変だったようだな？メシ屋のオッサンから大体の話は聞いたよ。」
龍雅はちゃぶ台を挟んで綾香とは反対の場所に座った。
綾香「まぁ、無理に龍雅に着いて来たのはアタシだし当然と言えば当然なのか…はは…。」
綾香は心にもないことを言って本音を避けた。
龍雅「まぁ、詫びとまでは行かないが実は近所で長柄祭って言うのがやってるんだ。暇だったらどうだ？」
綾香は龍雅の口から予想外の言葉が聞こえたことに目を丸くした。
綾香「え？マジで？ちょ…意外！！てゆか暇してたし行く行く！！！」
龍雅は席を立った。
龍雅「10分したら裏口で待ってろ！」
そう言い残し、龍雅は部屋を出て行った。
10分後、自転車屋の裏口には仁平姿の綾香がいた。正面に見える山車小屋からシャッターを開けて龍雅が出て来た。
龍雅がゆっくりと綾香に歩み寄って来た。
龍雅は目を細めた。
龍雅「つまらない祭だが暇潰すくらいにはなるだろう。行こう…。」
その時だった！！
二人が歩きだした方向とは正反対にある山の方向から謎の轟音が響いてきた。
グォー………グォーオオオオ！！！！！！
それはまるでこの世のものとは思えない音だ。
二人は振り返り、龍雅は再び目を細めた。
その時、裏口からステテコ姿のゲンが飛び出して来た。
ゲン「龍雅！！緊急事態じゃ！！！今回はとびっきりヤバイぞ！！！」
夕日も沈みかけていた。

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